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2013年06月27日 前へ 前へ次へ 次へ

イノベーションを支援する特許行政

 イノベーションと知的財産戦略は不可分の関係にある。日本企業の成長戦略として、グローバル市場を視野に入れた事業展開の重要性が高まるなかで、特許庁は国内外で迅速かつ質の高い知財の権利化と、これを活用できる環境づくりを推進する。官民一体となった「グローバルイノベーションサイクル」の成果を期待したい。
 「特許行政年次報告書」によると、日本は技術貿易収支で年間2兆円の黒字を計上、知財を活用して利益を生む構造へ転換しつつあるという。ただ、この約7割は海外子会社からのライセンス収入で、第三者からの技術貿易黒字幅の大きい米国の収益構造とは異なっている。
 今後は知財を最大限活用して、グローバル競争に耐える優位性確保、ライセンスで稼ぐビジネスモデルが必要と指摘する。これを「グローバルイノベーションサイクル」と特許庁は位置付け、産業界の事業戦略を支援する知財行政を強化する。具体的には(1)迅速な権利化(2)事業展開を見据えた権利化(3)質の高い権利化(4)海外での権利化促進などだ。
 特許庁が重視してきた迅速な権利化は、審査順番待ちの短縮。約カ月に伸びた期間を2012年度末にはカ月に短縮、今年度末にはカ月を実現できるという。また国際的共通ルールに基づいて、海外でも早期審査が可能な特許審査ハイウェイ(PPH)では、アジアを中心に対象国を広げ、日本企業のグローバル展開を支援する。
 今年4月には「事業戦略対応まとめ審査」も始めた。例えば、成長が期待されている電気自動車では、量産化に不可欠なソフトウエア技術、モーター、装置制御、素材、電池、製造技術、車体構造などの特許のほか、意匠や商標を一括して審査することが可能となった。このほか世界最大の特許出願国となった中国文献へのアクセス性向上や効率的検索が可能なサービスの充実も強化した。
 特許庁は先に、特許制度のユーザーを対象にしたアンケート調査を実施、全体評価で不満があるとの回答は約%にとどまった。ただ「審査官や審査室間でばらつきのない判断」に関しては、半数近くが不満と回答した。さらに「拒絶理由通知等の記載」「外国特許文献の調査」「非特許文献等の調査」「審査官の技術等に関する専門知識レベル」などに不満が多いという実態も明らかになった。
 日本企業は知財権侵害に対する権利行使に慎重になりがちと言われる。戦略的知財の定着に向けて、官民が直面する課題を着実に解決しながら「グローバルイノベーションサイクル」構築を目指してほしい。


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