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多様性を可能とするエネ基本計画を
7月21日の参院選を控え、経済産業省の総合資源エネルギー調査会が取り組んできたエネルギー基本計画の策定作業が中断している。原子力発電の位置付けを巡り国民的合意が難しいことで議論を先送りしているが、世界のエネルギーを取り巻く情勢は日々刻々と変化しており、これまで以上に多様かつ迅速な取り組みが迫られている。日本経済の成長戦略を実行するうえでも、エネルギー戦略を早期に提示すべきである。
東日本大震災、原発事故を契機に民主党政権の環境・エネルギー戦略は紆余曲折した。ようやくまとめあげた「2030年代に原発稼働ゼロ」目標は、安倍政権誕生で白紙に戻すことになった。一方、当面の原発再稼働は、原子力規制委員会の新安全基準に基づいて審査されるが、不透明な状況が続く。
原発を再稼働しなくとも「節電の取り組みが継続されれば、電力の安定供給に最低限必要な予備率3%以上が確保できる」とする今夏の電力需給見通しが総合資源エネルギー調査会から示されたこともあり、エネルギー供給の危機感は薄れている。ただ関西電力エリアなど一部地域は綱渡りの状況にあり、燃料費の増加が一段と進みそうだ。11年の燃料費5・9兆円から12年は7・1兆円へ増えたが、原発停止によるコスト増がそれぞれ2・3兆円、3・1兆円を占める。13年は3・8兆円に増加する見通しだ。貿易赤字拡大による国富流出は深刻で、安倍政権の成長戦略の足を引っ張る可能性もある。
原発停止によって石油、天然ガス、石炭など化石資源依存が高まり、CO2排出増やエネルギーセキュリティ不安定化が懸念される。再生可能エネルギー拡大は不可欠で、固定価格買い取り制度が導入されたものの、ほとんどが太陽光発電というのが実態。原発稼働停止をカバーするには力不足が明らかだ。
安全性の確認された原発再稼働のほか、液化天然ガス(LNG)および非在来型シェールガスの国際市況や価格形成メカニズムに的確に対応して電力コスト削減が急務だ。石炭は最も安価な化石原料で、発電効率やCO2抑制で日本の技術は世界トップ水準である。石炭の位置付け、役割も明確にしてエネルギー多様化も図りたい。
このほか、震災後のエネルギーミックスに対応した発送電分離の方向性、天然ガスの国内パイプライン網整備にも取り組む必要がある。エネルギー政策は安定供給・経済性・環境の3Eのバランスが大事なことは変わらないし、市場に全面的に委ねられない。数値に偏ったエネルギー計画の議論から脱し、戦略的な計画策定を強く望みたい。