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2013年06月17日 前へ 前へ次へ 次へ

素材企業も最終商品向け提案強化を

 花王は環境負荷を低減する衣料用液体洗剤「アタックNeo」を開発するとともに、消費者にその洗濯スタイルを提案した。この取り組みが評価され、日本化学工業協会の環境技術賞、新化学技術推進協会(JACI)のGSC(グリーン・サスティナブルケミストリー)経済産業大臣賞を相次いで受賞した。消費者目線で打ち出した"いっしょにeco"は、CO2削減対策に向けたユニークな切り口として注目したい。
 花王によると、洗濯におけるCO2排出量は洗剤原料、容器、製造、輸送、廃棄など事業者の取り組むべき範囲と、家庭などで洗濯する際の電気や水などに分類される。これをLCA(ライフサイクルアナリシス)の視点で解析すると、CO2排出量はほぼ半々という。またライフサイクルにおける取水や浄水のために大量のエネルギーを使っており、水の使用量を減らすことによる環境負荷低減効果が大きいと指摘している。
 「アタックneo」は、すすぎ回数を1回にできるために地球温暖化対策や水資源保全に貢献する商品開発である。洗剤使用時の環境負荷低減技術として高親水性非イオン(ノニオン)界面活性剤を新規に開発したことで、高い洗浄力、コンパクト化、節水・節電・時間短縮を実現した。世界規模で深刻化している環境問題や水不足のみならず、女性の社会進出支援という点からも評価されるだろう。
 化学産業は製造工程を中心に大量のCO2を排出しているが、一方で化学製品を使用することでライフサイクル全体ではCO2削減に貢献していることが明らかになっている。住宅の断熱材、航空機部材に使用される炭素繊維などデータに基づいて証明されている。化学産業の存在感を示すためにもカーボン‐LCAを有効に活用して、BtoB事業の強化、拡大につなげてほしい。
 化学は素材産業というイメージが強いが、洗剤に代表されるトイレタリー製品や化粧品、医薬品など最終商品も多く、その原材料供給でも大きな役割を果たしている。花王のケースでは新しい界面活性剤開発が貢献したが、同様なニーズはまだまだ埋もれているはずだ。
 素材系企業にとってコンシューマー商品ニーズを先取りすることは容易ではないが、市場の動きに絶えず関心を持ち、有力メーカーとの情報交換を密にすれば化学素材や製品に対するニーズをつかむことは可能だろう。メーカーのみならずディーラーも最終商品を視野に入れた新技術や新製品提案をより積極的に進めることでビジネスチャンスが広がり、グローバル展開への道も開けるのではないか。


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