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2013年06月10日 前へ 前へ次へ 次へ

待ったなしの製造業復活向けた挑戦

 日本経済を支えてきた製造業は、ビジネスモデル変革に積極的に取り組むとともに、非効率な経営資源を有効活用して産業の新陳代謝が必要というのが、2013年版「ものづくり白書」のメッセージである。
 経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省で執筆したものづくり白書は、世界を制するほどの競争力を有した時代もあった製造業の地盤沈下にメスを入れた。とくにデジタル化や新興国企業との競争が激化したエレクトロニクス業界はこの傾向が強く、リーマン・ショック後の世界同時不況の打撃を受け、一気に収益力が落ち込んだ。
 円高、エネルギー制約など「六重苦」問題は、製造業に重い負担を課してきたのは間違いない。ここに来て「アベノミクス」効果による円高是正の動きはあるが、エレクトロニクス産業など国内生産のV字回復は見込めない。国内の立地環境は世界的最低ランクにあることを考えると、法人税引き下げなど高コスト構造改善に向けた政策課題の解決をこれ以上先送りすることは許されない。
 産業界の自助努力も問われている。白書では「高性能・高品質製品であれば売れる」というビジネスモデルの転換を迫る。薄型テレビのようにコモディティ化が進んだ製品では、部品生産から製品組み立ての自前主義から、外部委託の活用など事業モデルを見直さないと国際競争に生き残れない時代である。収益力悪化は研究開発費、設備投資の抑制という負のスパイラルに落ち込む。
 海外に比較して開業率、廃業率がともに低く、営業利益率も国際的に劣位という日本企業の現状も課題だ。ベンチャー企業を創業して新事業に挑戦しようとする土壌や育てようとする風土も醸成されていない。大企業も含めて非効率事業を抱え込んだままの企業が存続しており、人材や設備が有効に利用されず、新陳代謝の遅れが日本経済を沈滞化させている。
 これからの製造業の方向として"グローバルニッチトップ"企業を一つのモデルと示した。市場規模は小さくても、国際的に高いシェアを有し、世界にとってなくてはならない企業だ。自動車エアバッグ、液晶偏光板、電子コンパス、半導体封止材やフォトレジストなど化学製品は数多い。ただ部材の宿命から需要業界の生産に振り回されることや、新興国企業の追い上げも激しい。成功体験に安住すれば、一気に凋落する事業という認識も必要となろう。
 製造業を取り巻く環境にも明るさが戻り、政府の産業競争力回復に向けた政策も期待したい。それだけに企業の自助努力がこれまで以上に求められる。


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