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官民で介護食品の情報提供と普及を
介護食品の潜在需要は約2・5兆円と試算されているが、現在の市場規模は約1000億円にとどまっている。介護施設では介護食品が普及しつつあり、介護食品メーカーは講習会や調理実演を通じて商品紹介に努めている。
だが、一般家庭となるとそう簡単ではない。退院した高齢者の食事がおかゆ程度では、十分な栄養が補給できず再入院するケースがあるという。消費者は介護食品の情報が不足し、どこで購入できるかもわからない。政府は介護食品とは何か、どのような栄養が得られるかといった啓蒙活動を、メーカーは病院などに対して商品に関する幅広い情報提供を行うべきではないだろうか。
販売方法も再考してもらいたい。一般家庭向けにインターネットを利用した通販を行っているメーカーもあるが、「老々介護」も多く、インターネットを使いこなせないことも考えるべきだ。消費者が入手しやすいドラッグストアやコンビニの店頭に並べてもらってはどうか。
また、介護保険の対象になっていないこともあって、介護食品は高いという認識も根強い。購入しやすい価格設定など検討が必要だろう。
嚥下困難者用食品の認可も増やすべきだ。2009年4月に新しい特別用途食品制度が施行された。改正の目玉が対象食品の見直しで、高齢者用食品は、飲みこみ困難者を対象とした嚥下困難者用食品となった。消費者庁から特別用途食品として許可を受けると、商品に"嚥下困難者用"などの表示ができる。いわゆるトクホと呼ばれる特定保健用食品もこの特別用途食品に含まれている。トクホが広く認知されているのに対し、嚥下困難者用食品の認知度は低い。理由の一つに、今年4月に許可を受けた食品が3品から8品に増えたものの、まだまだ少ないことがあげられよう。
普段、健常者はあまり意識せず食事をしていることが多い。しかし、食べることは極めてメンタルな行為で、食品を見ておいしそうだと感じないと、食欲がわかない。介護施設でも嚥下食といえばミキサーにかけたり、細かく刻んだものが多いようだが、テクスチャー改良剤を使えば食材本来の形に成形することができる。
東北大学で心理学を研究する坂井信之准教授によると、嗅覚も味に大きく影響を与えているそうだ。高齢化すると嗅覚が鈍り味を感じにくくなるが、介護食品にフレーバーを加えることでこの課題を克服できるという。高齢者にとって食事は楽しみの一つでもある。栄養があっておいしく手ごろな介護食品の普及を望みたい。