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2013年04月26日 前へ 前へ次へ 次へ

企業、消費者が納得できる食品表示を

 一元的な食品表示への制度見直しに向け食品表示法案が今月5日の閣議で決定、今国会に提出された。法案成立後、食品表示の詳細基準の検討を始めるが、消費者と事業者の思惑が交差するなか、関係者が満足できる表示にするには、引き続き議論が必要となろう。現在は任意である栄養成分表示は義務化が可能な枠組みとなり、食品の価値を示すことができるほか、表示項目は食品の安全性、消費者が購入する際の判断へと直結することだけに納得のいく議論を進めてもらいたい。
 食品表示法は食品衛生法、日本農林規格(JAS)法、健康増進法の3つの法律で表示に関わる部分を一元化して、食品を摂取する際の安全性と消費者の食品選択の機会を確保するため創設するという。3法で括られる食品表示は、法律によって定義が異なり以前から消費者、事業者にとって複雑で、分かりにくいという不満が強かった。
 これまでの政府の検討を土台にまとめ上げた新法は、新しい表示の枠組みであり、成立から2年内、早ければ2015年春に施行が予定されている。表示の適正を欠いている場合、消費者による申出制や罰金による罰則強化など消費者の意向が反映されることになる。
 ただ表示基準には、策定のための議論が不足していることが懸念される。わずか2年間で消費者と事業者双方にとって満足のいく表示基準が示されなければならないが、食品産業は中小企業の多い業種だけに、表示変更にともなう混乱やコスト増が避けられない。適切な準備期間が必要である。国は表示ルールを現行制度に基づいて拡充を図ることを考えているようだが、消費者団体とは原料原産地、内容量への考え方、カロリー、期限表示など表示項目、範囲をめぐり温度差が生じている。
 現在の食品表示規制は消費者庁、厚労省、農水省に管轄が分かれ、それぞれに専門家がいる。このなかで一元化表示に関する相談窓口を事業者、消費者はどこに求めるのか、新たな組織体制を整備するのかなども明確になっていない。また事実に相違する表示には、適格消費者団体の差止請求権が認められるが、立証する分析技術基準や検査機関の質をどのように評価するのかなど、新表示制度のスタート前に検討すべき事項は多岐にわたる。
 食という生活の重要部分に関わる制度だけに、事業者には効率的、消費者には分かりやすく、安全を選択しやすい基準が必要となる。例えば、食品ラベル表示の解釈を広げ、ネット上の表示など多様な方法の導入を併せて検討することも有効な手段となるのではないだろうか。


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