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【連載(上)】 統合報告書 変わる情報開示
成長戦略を多面的に記載財務・非財務の連関カギ
企業の財務情報と非財務情報(通常CSR報告書に記載される環境、社会、企業統治=ESGなどに関する情報)を統合する「統合報告書」。単に統合するだけでなく、情報の相関性やESGに関する企業のリスクとチャンス、ESG取り組みを通じた成長戦略などを明確に記載することが求められる。国際基準も年内に発表される予定だ。統合報告の考え方は欧州に源流があるが、日本でも作成企業が増えつつある。
(中村幸岳)
※日本でも増える作成企業※
統合報告が要請される社会的背景としては、生態系の破壊や資源の枯渇など企業活動に必要な「リソース」の減少が現実問題として社会に認識されつつあることがある。「こうした状況下で企業が持続的成長を実現するには、社会インフラやリソースの維持保全に取り組み、経営の効率性を高めることが必要。統合報告には企業のこうした活動を投資家や社会に理解してもらう意味もある」(上智大学経済学部の上妻義直教授)。
2011年に統合報告を作成した国内企業は約30社(名称がアニュアルレポート=AR=などとなっている企業を含む)。12年は40〜50社に増えたとみられる。統合報告の対象は原則として投資家で、比較可能性を担保するため最低限記載すべき項目もあるが、企業個々の事業内容などによって情報統合の形態や作成スタンスは異なる。
例えば、作成開始が06年と国内で最も早い企業の1社である武田薬品工業。人の命や健康にかかわる医薬品事業を世界70カ国で展開していることに鑑み、従来のステークホルダーに加え国内外の地域社会も報告の対象と位置付けている。そのため統合報告書(名称はAR)では、財務情報とESG情報などをほぼ同じウエートで扱う。
※顧客や一般市民など意識※
11年度から作成を始めた資生堂(名称はAR)は、潜在株主としての外国人投資家や個人投資家を強く意識。グローバル展開を強化するなか、ESG投資の比率が大きい欧州の企業との成長性を比較しやすくする狙いもあり、統合報告を作成した。内容は従来のAR記載内容を中心に、ESG情報を付加するかたちを採用した。
オムロンは昨年、株主を対象としてきたARの?マルチステークホルダー化?を目的に、「統合レポート」の作成を開始。同社も従来のAR記載内容が中心だが、特集を多く組むなど顧客やサプライヤー、一般市民も意識したつくりにした。
統合報告の作成担当者が一様に頭を悩ますテーマが「いかに非財務情報と財務情報をリンクさせるか」。つまり、ESG活動などが企業の成長・利益拡大にどうつながるかを説明するという、いわば統合報告最大のテーマだ。
資生堂IR部の白岩哲明IRグループリーダーは「実際の企業経営で財務情報と非財務情報が統合されてこそ統合報告を作成できる」と指摘する。同社は統合報告でヒット商品の原料である植物の育成・保全活動を紹介するなどの工夫をしている。
※価値保全の取り組み重視※
武田薬品は自然環境や資源など放置すれば毀損されがちな価値を保存することが、企業の持続性・成長性に深くかかわると考えている。統合報告の作成においても価値保全の取り組みを重視するISO26000(社会的責任に関する手引)を活用。7つの中核主題ごとに「将来見通し」を盛り込むなどしている。
オムロンは成長事業の1つと位置付ける環境関連事業が財務・非財務情報をリンクさせるカギとみる。今年発行予定の「統合レポート2013」では太陽光発電システム向けパワーコンディショナーなどを手掛ける同事業をメーンテーマの1つに据え、省エネ・環境負荷低減の取り組みと成長性との連関を説明することを検討している。