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アジアに環境マネジメント発信 高桑名古屋大大学院教授に聞く
日本学術振興会のアジア研究教育拠点事業の一環として2008年度から5年間にわたって推進された「東アジアにおけるモノづくりと環境のマネジメント」が3月末で終了、成果がまとめられた。モノづくりの視点から、地球温暖化対策につながる日本の環境技術やノウハウを移転する方法論を確立し、東アジア各国に発信すること、それを通じた関連人材を育成することなどが目的。東アジアでは高い経済成長が続くが、その一方、中国の大気汚染問題などさまざまな環境問題が深刻化しつつある。温暖化対策はもとより、大気や水、土壌の汚染対策なども含めた総合的な環境保全策が求められ、日本の果たすべき役割は大きい。研究プロジェクトのコーディネーターを務めた名古屋大学大学院経済学研究科の高桑宗右ヱ門教授(写真)に取り組みの成果と今後のあり方を聞いた。
◇
― 研究プロジェクトの概要をお聞かせください。
「東アジア諸国に、モノづくりの視点からわが国の環境マネジメントの技術ノウハウを移転するための方法論を探り、関連人材を育成することが第1の目的だ。当初は日本と中国の大学が連携して始めたが、途中からベトナム、モンゴル、韓国、シンガポールの大学や行政機関が参加した。日本の企業も加わって産学官連携に広がった。5年間に計16回セミナーを開催し、活発な意見交換をしながら進めてきた。その成果を『東アジアのモノづくりのマネジメント』『モノづくりと環境のマネジメント』の2冊にまとめた。英語版、中国語版も出版された」
―重点的に取り上げたテーマは。
「低炭素経済と環境マネジメントの統合に焦点を当てた。プロジェクトの前半はマクロの視点から環境経済について、後半は企業が取り組む環境マネジメントに重点を置いた。2つの軸で討議し、1つの道筋を示すことができたと思う」
― 持続可能なモノづくりを進めるうえで重要なことは。
「企業にとって、生産技術をはじめとする経営マネジメント全体の中で環境をどう位置付けるかが重要性を増している。大気汚染、化学物質管理、CO2排出削減など生産活動に関わる全ての環境問題を俎上に載せ、システマチックな手法でマネジメントを考えるべきということが、世界的な潮流になっている」
「そうした点を踏まえ、日本の各分野のリーダー級の方々に執筆していただき、マテリアルフローコスト会計(MFCA)、経団連の環境自主行動計画や中小企業向け環境マネジメントシステムのエコアクションなど、わが国のマネジメント手法を体系的に整理した」
― これを各国に普及するわけですね。
「直近では、中国では大気汚染が深刻化し、ベトナムでは河川の汚染が広がっている。わが国はかつて同様の公害問題に直面し、克服してきた経験を持つ。各国の関係者にはこうした具体的事例に対する関心は高い。日本が蓄積してきた技術やノウハウを実情に応じて移転できれば、東アジアにも環境マネジメントが広がる」
― それを進めるうえでの課題は何ですか。
「一番の課題は環境マインドの不足だ。中国で行った調査では、地方企業のレベルでは環境問題は関係ないという意識がまだ多い。例えば汚染物質を大気や河川に放出することが悪いという認識が定着しなければ、環境管理システムのツールを用意しても効果はない」
「行政当局には、環境マインド向上には教育が重要なことは理解されている。ただ、それを社会や国民にどう広めるかが各国共通の悩みの種だ。日本からの支援はまず、教える側の人材育成から始めることだ。専門家派遣や研修受け入れも有効だが、日本の大学で学んで帰国した後に政府などで重要な役割を担う留学生も増えてきた。好ましい傾向だと思う」
(聞き手・山下裕之)
(了)