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進む円安 どうなる化学産業
需要業界の生産回復期待アジア冷え込み
輸出増は期待薄
昨年末から急速に進行している円安は、ついに1ドル=100円、1ユーロ=130円の水準に達しつつある。対ドルでみれば、約78円だった昨年10月から半年を経ずにして約30%も変動した。先安観をなお強めるなか、短期間での大きな変動が化学産業、とくに汎用品分野にどのように影響するだろうか。
「為替の変化が個々の企業に直接的に与える影響よりも、需要家業界の動向を通じた間接的な影響の方が大きい」(小林喜光三菱ケミカルホールディングス社長)。小林社長をはじめ、主要各社のトップはこう口を揃える。大手化学企業の業績は1円の円安で三菱ケミカルが17億円、住友化学が25億円、旭化成が7億円、三井化学が6億円それぞれ利益が向上する。小さくないとはいえ、石油や自動車会社ほどの規模ではない。むしろ自動車メーカーなどの国内生産が好調になれば出荷が増え、その恩恵の方が大きいというわけだ。輸入原料の購買コストの上昇分を円滑に製品価格に転嫁できるという条件つきだが、この円安で日本の産業の競争力が全体的に高まれば間違いなく化学業界は恩恵を受ける。
※価格差がなければ国産品に回帰※
もう1つの恩恵があるとすれば、輸入品に対する競争力向上。ポリプロピレン(PP)の昨年の輸入量は、共重合樹脂との合計で30万トンを超えた。国内出荷量が230万トンのなかで輸入品が17%を占めていることになる。ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)なども同様の動きを示しており、いずれも昨年から今年にかけて各社の設備停止の決定に結びついている。もちろん輸入品の増勢の最大の要因は円高による内外価格差の拡大だ。
現状では輸入原料価格の上昇が国内品の値上げに結びつき価格差が劇的には縮小していないが、「需要家は値段さえ大きく違わなければ供給安定性や品質面から国産品を使いたがっている」(高見澤博之PSジャパン社長)。1ドル=100円以上の円安になれば、国内品への回帰が本格化するとみる関係者が多い。
※市場環境に左右されやすい輸出※
一方、円安によって日本からの輸出は増加するかというと、こちらは為替以外の要因の影響が大きい。ここ数年のエチレン換算の化学品輸出入動向をみると、アジアの石化市場が沸いた05〜07年は3年連続で輸出が増加。とくに07年は国内のエチレン生産量が過去最高となったが、この年の年平均為替レートは1ドル=117・8円。リーマン・ショックの影響や国内エチレン設備のトラブルで輸出が急減した08年をはさみ、09年は90円台前半へと円高に振れたにもかかわらず過去最高の輸出量に達した。
円高の進行とともに着実に増加している輸入に対し、輸出の場合は市場環境に左右される側面が大きい。輸出での手取りが向上することで業績の改善にはつながるが、アジア市場が冷え込んでいる現下の状況では為替要因だけで輸出が飛躍的に増えると考えるのは難しい。
※為替に関係なく業界再編は進む※
為替変動の影響が限定的という観点は、中期的な国内化学産業の行方とも関係してくる。このまま1ドル=100〜120円が定着したとしても、それだけで縮小気味の国内の汎用化学産業が立ち直るとみるのは早計だろう。「為替がどうなろうと、(製品構成の高付加価値化や海外展開強化といった)やるべきことをやるだけ」(中堅化学首脳)という言葉が、業界の空気を代表している。為替の動向にかかわらず、汎用分野では今後も事業再編などが進んでいく可能性が大きい。
(渡辺義真)