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2013年03月29日 前へ 前へ次へ 次へ

GM作物の受容意識向上に情報提供

 遺伝子組み換え(GM)作物を原料とする食品は、日本でも暮らしに深く浸透している。一方で、多くの消費者はGM食品に漠然とした不安感を感じ、受容意識は低いのが現実である。
 バイテク情報普及会がさきごろ実施した調査で、消費者はGM作物やそれを用いた食品に関する情報が不足している実態が明らかになった。GM技術を用いて品種改良された作物ということや、国際基準に基づく国の審査によって安全性が確保されている事実も伝わっていない。GM作物が商品化されて17年を経過するが、健康への影響は報告されていない。これら情報を示すことで、消費者の受容意識が高まることも分かった。メディアや講演会などを通じた消費者への正確な情報提供の推進が重要である。
 国際アグリバイオ事業団(ISAAA)によると、昨年の世界のGM作物栽培面積は1億7000万ヘクタールに達し、開発途上国の占める割合が52%と初めて先進国を上回った。ブラジルは前年比21%増の3660万ヘクタールとなるなど、途上国のGM作物栽培をけん引している。
 世界的人口増加で近い将来、食糧不足が予測されるなか、GM作物の役わりはますます重要となるだろう。国連食糧計画によると、世界では8人に1人、およそ8・7億人が飢餓に苦しんでいる。世界の飢餓人口の65%がインド、中国、コンゴ民主共和国、バングラデシュ、インドネシア、パキスタン、エチオピアの7カ国に集中している。
 例えば、ビタミンAの欠乏は、開発途上国における子どもの失明の主な原因となっている。はしか、麻疹、マラリアによる死亡リスクも高める。現在、フィリピンでビタミンAの前駆物質であるベータカロチンを合成する遺伝子を導入した組み換えイネ「ゴールデンライス」の開発が進められており、来年には商業化される見通しとなった。途上国で普及が進めば、そうした課題解決の道が開けるだろう。海外では干ばつの被害も話題に上るが、干ばつに耐性のあるトウモロコシの商業生産も今年から始まる。
 GM技術を応用すれば、ビタミンA以外にも栄養価の高いGM作物の開発が期待できる。花粉症などアレルギーや病気の治療に役立つGM作物が開発されていることもあまり知られていない。害虫抵抗性や除草剤耐性を持つGM作物の実用化で農作業の軽減や水の使用量削減にも役立っている。近年、増えてきた除草剤耐性を持つ雑草も、掛け合わせ(スタック)遺伝子組み換え品種で対応できる。現状の技術に甘んじることなく、たゆまぬ研究開発の継続が重要である。


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