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2013年03月27日 前へ 前へ次へ 次へ

介護食品需要を発掘する商品開発を

 わが国は要介護認定者数が10年間に2倍以上増加する中で、介護食品の普及は進んでいない。問題点を洗い出し、今後の普及、拡大つなげるため、国による検討が始まった。世界に先行する高齢な要介護者急増に対して、そのモデルを提示しなくてはならない。食品開発能力が高い日本の強みを発揮し、素材開発を含めて介護食品市場拡大の基盤を築いてほしい。
 取り組みは農林水産省によって始まった。食品や流通企業のほか、学識経験者、医療関係者、栄養士、ホームヘルパーなどが参加。検討会は6月ごろまでに論点をまとめる予定だ。
 介護食品の潜在需要は、約2兆5000億円に達すると試算されているが、現在の市場は900億円強にとどまる。この差を埋めるには、研究開発から製品化、販売、知名度を高めるためマーケティング手法、デリバリー方式などすべてをチェックし、整備する必要がある。
 要介護者は状態によって一人ひとり求められる食事が異なる。介護保険施設では、介護保険制度で定められる1日1380円に食費を基準にしなくてはならない。難嚥下対応など機能性に優れている素材でも、高価なものは利用できないという問題が生じてくる。また業務用の完全調理型介護食品では低塩、低糖、低脂肪など味が均一となりがちで、介護施設関係者に評価されないことも普及につながらない理由のようだ。
 メーカー独自基準が先行しているが、国の製品規格は遅れている。ドラッグストアなど流通ルート活用による小売りも動き出しているが、認知度が低いうえ、割高感があるという。
 すべての問題を一挙に解決することは難しいが、まず介護食品は高付加価値商品という認識を改める必要がある。一般食品と同じように利用しやすいものとして開発し、取り扱う仕組みが必要ではないだろうか。食品業界ではこれまで、健康機能などを有する食品や飲料を開発する際に、既存品に比較して市場単価を30-150円高く設定し、広告宣伝費を投入して、消費者の購買意欲を刺激してきた。介護食品はこれまでの市場開拓の方法では通用しない。
 利用しやすい価格、簡便性、取り扱いやすい介護食品の普及に向けて食品・飲料メーカーはもとより、化学、医療、製造機器、流通、介護サービスなど関連する産業の連携、協力が求められる。製品規格の統一など行政の役割も当然大きい。潜在需要を掘り起こし、高齢化時代のニーズに対応した食品を開発することは、日本経済の成長戦略にも貢献する。関係する関係者の新産業創出に向けた気概を期待したい。


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