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【連載(4)】問われる保安 岐路に立つ化学産業
[現場力向上へ知恵絞る]
人材教育と投資を両輪に
※手探りの中小企業※ 大手化学メーカーはプラント運転員教育の見直しを始めている。「ベテランの研修も始めた」(三井化学)、「手順だけでなく、なぜその操作をするのかというホワイの部分もマニュアルに加えた」(東ソー)。三菱化学もオペレーターの大卒シフトを進めている。その一方、中小メーカーは手探りが続く。「団塊の世代の大量退職で現場の有能な指導者が年々減っている。中小の保安管理をどうするかが大きな懸案だ」と日本化学工業協会の春山豊常務理事は話す。
水島コンビナートがある岡山県に技術研修組織の山陽技術振興会がある。日化協は同会や化成品工業協会などと連携し公開技術講座の立ち上げを検討している。しかし、前途は多難だ。同会の池上正副会長(旭化成元常務、水島製造所長)は「研修に派遣するとプラント運転に支障をきたすなどの問題があり、これまで中小の受講者は少ない」と打ち明ける。このため日化協は大手化学の事業所と出前研修講座の実施も考えている。
専門メーカーの保安管理はトップの経営姿勢に大きく左右される。「保安投資は赤字になっても逃げずにやる。逆に保安をケチって確保する黒字は不健全」と言い切るのは大阪有機化学工業の鎮目泰昌社長。毎年、春と秋にキャラバンを組んで各工場を点検、成果発表会を開いている。「自覚と自信が生まれ、若手が確実に戦力として育っていく」と強調する。
※施設の外部開放を※
コンピューター制御によって製造現場の危険に対する感覚が希薄になっている。住友化学・生産技術センターの太田潔主任研究員は「研修は『ひやり、はっと』の体感教育を重視すべき」と主張する。日本ペイントは静電気などを体感できる研修施設「安全道場」を設け、販売店などの取引先や同業他社に開放している。大手化学メーカーにも研修施設を広く利用できる仕組みづくりを急いでほしいという声は少なくない。
ハード面の保安対策も怠りがあってはならない。カネカの岩澤哲取締役・生産技術本部長は「老朽化が直接の原因で事故が起こることは極めて少ないが、細心の注意を払わなければならない」と気を引き締める。ダイキン工業は鹿島製作所の爆発事故を機に3年間で100億円近く投じて安全装置を3重にした。「スタッフの技術や知識だけに依存しない体制を整えた」(川村群太郎副社長)。
帝人は事故をとくに警戒する拠点を「防災管理特定工場」として指定し、500項目を超える厳しい保安チェックを実施している。責任者の後藤陽執行役員は「人的な技能低下をカバーするため、プラントの計装化をさらに進める判断も正しい」と話す。欧州では工場の保安管理にスマートグリッドなどに使われる先端計装機器を活用し、計装化を強化する試みが始まっているという。
製造力はモノづくりの土台だ。「安全はすべてに優先する」。その当たり前のことをもう一度、業界全体で確認してほしい。
... この連載は大阪支社の野開勉、高井肇、増戸良博、佐藤尚道が担当しました。
(了)
【写真説明】
日本ペイントは静電気などを体感できる「安全道場」を設置、取引先などにも開放している