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2013年03月15日 前へ 前へ次へ 次へ

期待したい環境改善対策の日中協力

 今週末まで北京で開催されている全国人民代表大会(全人代・国会)で、動き出した習近平体制による中国政府の目指すべき政策が明らかになりつつある。開催期間中に内外メディア向けの会見で、改めて経済成長や外交方針、北京の省庁改革案など、いくつかのキーワードといえる政策が示されている。
 尖閣問題など外交に関しては、日中政府間の協議を通じて進展を待たなければならないが、一方で深刻化の度合いを増している中国の環境問題への対応は急務だ。すでに九州などで影響が出ており、日本の基準値の約30倍といわれ高濃度微粒子で汚染されている微小粒子状物質(PM2・5)問題は、可及的な対策が必要なレベルだ。
 中国全土の地下水の約70%近くが汚染状態にあり、早急に地下水浄化が必要なことが広東省の経済紙で報道された。最近では上海近郊の養豚農家が、伝染病にかかった1000頭を超える豚の死骸を河川に放置、廃棄したことが発覚した。当局は飲料水には問題ないというコメントを出したものの、ネット上では上海市民からごうごうたる非難が上がった。
 さらに大気汚染の原因に欧米や日本、韓国などに比較して基準の緩い石油精製の脱硫装置の問題がある。この未整備によって大量の硫黄酸化物が大気中に放出されており、いまだ規制が行われていないことに国民の不満も高まっている。
 中国政府は、昨年からきれいな空、安全な水、クリーンな空気という政府目標スローガンを打ち出し、関係当局に環境対策を最優先するように指示したと言われる。ただ、その一方で、政治的な派閥抗争が続いているほか、いまだ地方都市で発覚している企業と地方役人との癒着問題などから、環境対策の早期実効性に疑問をはさむ声も上がっている。
 上海近郊の地方政府の役人、開発区担当者などと話すと、過去の日本における光化学スモッグなども含めた大気汚染問題を解決してきた日本の官民一体となった取り組みを高く評価する声を何度も聞く。
 日本と中国との間には現在、尖閣問題など課題が山積している。ただ、直面する環境問題に限ると、できるだけ早期に実効的な政策や技術の交流を復活させるべきではないか。中国のネット上でも、日本が蓄積してきた多様な環境技術、悪化した土壌汚染の修復・浄化技術などを評価するコメントが相次いで発表されている。また、政策面で環境改善を実現してきた日本の規制などのシステムを参考にすべきだろう。そこに新たな日本と中国の交流が復活、前進するのではないか。


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