ニュースヘッドライン記事詳細

2013年02月25日 前へ 前へ次へ 次へ

前途多難の中で始動する習近平体制

 3月に北京で予定されている全国人民代表大会(全人代)で中国の習近平体制が名実ともに動き出す。首都北京を中心に常態化している深刻な大気汚染、最近相次いで明らかになった中国各地の地下水汚染や土壌汚染などの環境問題に国民の反発が広がっている。日本との尖閣諸島問題だけでなく、多くのアジア各国と領土紛争も抱えている。これまでの輸出主導型による二ケタの経済成長から、内需成長を基盤とするゆるやかな経済成長路線へ舵を取ろうとしている経済政策の成果も注目される。中国の新しい政治指導部は前途多難な中での始動ということが言えるだろう。
 1月中旬、中国国家統計局が発表した2012年実質国内総生産(GDP)は前年比7・8%増となり、アジア経済危機の影響が世界的に深刻化した99年以来13年ぶりに8%を割り込む結果となった。中国政府が掲げてきた目標の7・5%はどうにかクリアしたものの、欧州債務危機を受けた輸出不振に加えて、不動産市場の低迷、公共投資の鈍化などで国内外の需要が低迷して、生産活動や消費、投資を圧迫した。中国の経済成長の潮目がはっきりと変わり始めていることが随所で鮮明になってきている。
 すでに電子製品や鉄鋼、自動車関連産業などの過剰設備問題が顕在化している。また邦貨で100兆円を超える規模ともされる地方政府の債務保証による信用不安問題も、処理を間違えれば中国経済を瓦解させる課題として残されたままだ。
 昨年は15-59歳の生産年齢人口が初めて減少に転じ、「人口ボーナス」から「人口オーナス」に転じると話題になった。都市部を中心に適齢期になっても結婚をしないことで、日本と同じ少子高齢化社会へひたひたと進み始め、豊かになる前に老いる「未富先老」の不安も広がっている。
 また、医療費をはじめとする社会保障制度も地域格差も広がり、バラつきを解消する平準化への道のりも決して平坦ではない。地方と都市部の貧富格差解消は、今後の政権に取って大きな課題だ。
 ただ、様々な不安要素を抱えながらも13億人の人口を背景にした中国市場は巨大である。そのマーケットも高度化、付加価値化へゆっくりと向かい始めているのも事実である。
 喫緊の課題である環境対策を中央政府のトップダウンで強力に推進するのは間違いなく、欧米や日本並みの化学品規制を含めた環境・安全に係わる法制度の整備や運用を強めるだろう。春節明けから中国の政治経済は本格的に動き始める。新体制の舵取りに目が離せない。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.