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【連載 下】ゼオライトが世界を変える 三菱ケミカル新たな挑戦
石化新製法の実現導く触媒
シェール革命で利用拡大へ
三菱ケミカルホールディングスグループのゼオライトにおける触媒としての活用では、SAPO-34系触媒による自動車排ガス触媒への展開や、SSZ-13の修飾触媒による石化原料転換触媒への展開などがある。このうち、石化原料転換では粗エチレンからプロピレンを1段で生産できる画期的な「ETP」プロセスの実用化計画を進めている。エチレンのほかメタノールやエタノールからもプロピレンを生産できるため、シェールガス革命やバイオ原料の台頭といった、世界のエネルギー転換の流れに乗った開発・事業化が期待されている。
※1段でプロピレン転換可能※
SSZ-13の修飾触媒は、プロピレン選択率が90%と世界最高の性能を持つゼオライト系触媒だ。エチレンとプロピレンの混合体の場合、エチレン比率が85%と高濃度でも90%の選択率を維持する。
同触媒によるETPプロセスの最大の特徴は、エチレンなどから一気にプロピレンを生産できること。既存のオレフィン転換技術はまずエチレンの2量化でブテンを生産し、さらにそのブテンとエチレンからプロピレンを生産するプロセスが必要だった。工程が大幅に簡略化できるので、プロセスの設置コストは従来の約半分ですむ。
北米や中東などにおける在来ガスやシェールガスなどの天然ガスを原料とする石油化学では、生産される基礎原料のほとんどはエチレンのみ。ナフサを原料とする石油化学に対しコスト競争力は高いが、プロピレン、ブタジエン、ベンゼンなどエチレン以外の基礎原料がほとんど生産できないネックがある。
※エネルギー転換の基幹技術※
こうしてみると、三菱ケミカルのゼオライト技術は分離膜での展開にしても触媒にしても、世界のエネルギー転換の流れを支える基幹技術であり、しかも、それらが密接なかかわりを持つ可能性に気づく。例えば、天然ガス田における「ガス分離」と太陽光を利用した水の電気分解による「人工光合成」は、将来は一貫プロセスに発展する可能性がありそうだ。
天然ガス田のなかでも、高濃度酸性ガス(サワーガス)はCO2含有量が多く、開発に際し分離コストが課題となっている。こうしたガス田にゼオライト膜のガス分離技術を導入すれば、安価な天然ガスの生産に貢献できる。さらに、分離したCO2を人工光合成プロセスの原料に活用すれば、効率的に石化基礎原料を生産できる。
※外部巻き込み「ことづくり」※
こうしたプロジェクトは国家の産業やインフラを支える壮大な計画であり、大きなビジネスチャンスが期待できる。また、実現させるには天然ガスの開発業者やエンジニアリング会社などとのコラボレーションが必要になる。さらに、安価で環境に優しい化学系原材料の供給を望む川下業界との連携も考えられる。
近年、日本の化学企業は新たな成長に向けた曲がり角を迎えている。三菱ケミカルの小林喜光社長は今年の年頭あいさつで自社単独開発にこだわる従来型の成長戦略の限界を指摘したうえで、「オープン・シェアード・ビジネス(OSB)も活用し、簡単には真似されず追随されない製品やサービスを速やかに創造する『ことづくり』を加速しなければならない」と語った。
化学技術によって生み出された同社のゼオライトも「ことづくり」候補の1つとして、化学企業に従来にないビジネスモデルをもたらす可能性がありそうだ。
(了)