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【連載 上】ゼオライトが世界を変える 三菱ケミカル新たな挑戦
膜技術に大きな可能性
ガス田開発や人工光合成に
三菱ケミカルホールディングスグループのゼオライト技術が化学の新たなイノベーションとして注目されている。ナノより小さいオングストローム(Å)領域の同技術は、「分子ふるい」や「触媒」として活用することで人類の夢である人工光合成プロセスの実用化や、シェールガスやバイオエタノールを利用した石油化学原料の新製法への応用が見込まれている。その過程では「オープン・シェアード・ビジネス」(OSB)と呼ぶ外部とのコラボレーションへの発展が予想されるなど、化学企業の新たなビジネスモデルの可能性も期待されている。
(佐藤豊)
※全長1メートル以上でも欠陥ゼロ※
三菱ケミカルが本格的にゼオライトの研究を始めたのは約年前で、その背景には資源・エネルギー問題の台頭があった。石油精製や石油化学の製造工程の主流が大量のエネルギーを必要とする蒸留技術から、省エネルギー技術である膜分離技術へシフトすると予想してのことだ。
そして、開発したのがシャバサイト型骨格構造と呼ぶ構造を持つ孔径3・8Åのゼオライトを基幹素材とする製品群。基幹素材にはアルミニウム-ケイ素-酸素系の「SSZ-13」とアルミニウム-ケイ素-リン-酸素系の「SAPO-34」がある。この間、SAPO系では機能性吸着剤「AQSOA」を実用化しており、三菱樹脂が低温排熱を利用した除湿・空調として事業化している。
一方、SSZ-13では全長1メートル以上の円筒状の分離膜に加工しても欠陥(ピンホール)がゼロという世界初の緻密さを実現するゼオライト膜(三菱ハイシリカメンブレン=MSM-1)を開発した。「特殊な添加剤の働きで、ゼオライト粒子の成長方向が一定に揃うことが技術ポイント」(三菱化学科学技術研究センターの瀬戸山亨無機系機能材料研究所所長)で、三菱化学エンジが有機化学品と水の分離分野などで用途開発を進めている。
※不純物分離などに威力発揮※
水分子の大きさは2・9Å。これに対しアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)、酢酸、ギ酸などの有機化学品の多くは分子の大きさが4〜5Åだ。このため、MSM-1によって不純物の水を分離することができる。既存のポリマー膜に対し数段高い分離性能を持っており、耐酸性、耐水性も高い。すでに約1年間の耐久テストも実施ずみだ。
SSZ-13によるゼオライト膜では将来、ガス田における天然ガスと二酸化炭素の分離といったガス分離用途での展開を検討している。東南アジアなどに存在する二酸化炭素濃度の高いサワーガス田の開発コストを大幅に低減できる技術として、年間1000億円規模の事業に育成していく考え。
※国家プロジェクトにも参画※
人工光合成分野では2012年11月、国家プロジェクトとして立ち上がった「人工光合成化学プロセス技術研究組合(アープケム、理事長=菊池英一早稲田大学名誉教授)」の主要メンバーとして参画した。
アープケムは二酸化炭素と水を原料に太陽エネルギーで石化原料を製造する革新的触媒の開発や、プロセス基盤の確立などに関する技術開発を推進する。三菱ケミカルのゼオライトは光触媒による水の電気分解で得た水素と酸素を安全に分離する分離膜として利用される。アープケムはまず16年度にオレフィン合成プロセスの小型パイロット設備を確立する計画だ。
【写真説明】MSM-1膜は天然ガスと二酸化炭素の分離などが期待できる