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2013年02月14日 前へ 前へ次へ 次へ

成長市場展開で活路を開く合繊産業

 合成繊維を含めた日本の繊維産業は厳しい環境が続き、このままでは縮小がさらに進むことになる。一方で中国やASEAN地域のみならず欧米でも、日本の高機能・高性能繊維が注目されている。世界トップレベルの素材開発力を武器に、成長の見込めるグローバル展開に活路を見いだしてほしい。
 世界の繊維貿易は中国一極集中が進み、日本企業も中国で生産して日本に輸入する構造が定着している。同時に中国は経済成長、個人消費の伸びでアパレル市場の高度化も目立つ。2020年の中国の衣料市場は08年比で3倍以上の40兆円が見込まれ、このなかでハイエンド、アッパーミドル層需要は15兆円になるという。
 同様なことはASEANでも期待できそうだ。20年の世帯可処分所得1万5000ドル以上の富裕層とアッパーミドル層の人口は1・6億人以上と試算されている。これらの成長市場では、日系合繊メーカーが提供する高品質素材やテキスタイルへの引き合いが増えるだろう。その際に安全性なども含めた高品質を武器にしながら、海外企業と連携してコスト競争力強化の視点が必要となろう。
 合繊メーカーのグローバル戦略として、高機能・高性能の先端素材による産業分野への展開も重要である。炭素繊維、アラミド繊維などは宇宙・航空、次世代自動車、風力や太陽光発電、次世代電池材料、医療機器などでの製品開発が始まっている。産業用不織布なども独自の用途開発を進めている。
 先進国の繊維産業の地盤沈下が進むなかで、昨年秋に仏リール市を拠点に欧州先端繊維研究センター(CETI)が開設されたことに注目したい。ユーロ圏に拠点を置く120の企業や研究機関で構成、分散している研究開発を一体化したクラスターを目指す。繊維は衰退産業ではないことをアピールし、素材開発力に優れる日本企業との連携も模索しているという。
 世界の潮流変化に乗ってわが国合繊企業の挑戦を期待したい。日本化学繊維協会は19日に開催する「先端繊維素材シンポジウム」などを通じて情報発信を強化する。ただ日本企業が陥りやすい高品質・高性能・高機能に過度にこだわり、市場ニーズとかい離しないように注意しなくてはならない。
 合繊産業復活に向けて障害になる懸念があるのは、経済連携協定など通商政策の遅れだ。繊維製品は現状でも比較的高い関税が存在するだけに、日中韓自由貿易協定(FTA)、環太平洋経済連協協定(TPP)、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への交渉参加、協定締結が急がれる。


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