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非可食バイオ燃料技術開発の新展開
トウモロコシの国際価格高騰が、バイオ燃料を取り巻く環境を大きく変えた。米国を中心にバイオエタノール需要拡大を見込んだ新増設ラッシュによって、食糧との競合が表面化して社会的に大きな問題となった。バイオ燃料は食糧と競合しない非可食バイオマスへの転換が迫られ、技術開発の抜本的見直しが始まっている。
地球環境産業技術研究機構(RITE)は、日本で発見されたコリネ菌をベースにバイオマス由来の燃料用エタノール、ブタノールから化学原料などの製造技術の開発に取り組んでいる。ホンダ、出光興産、住友ベークライト、住友ゴムなどと共同開発を進めており、産業化を重視していることが特徴である。この開発方針を加速してRITEプロセスの普及を目的に一昨年9月、ベンチャー企業「Green Earth Institute」を設立した。
RITEプロセスは非可食原料によるバイオ燃料の技術開発を打ち出している米国エネルギー省も注目、その傘下の再生可能エネルギー研究所(NREL)との共同研究が動き出した。セルロース系など非可食バイオマスを原料にする際の技術的な壁となっているのは、前処理工程における発酵阻害物質の副生。これを抑制するには、酵素を増やせば解決するが、酵素が高いためエタノール製造コストが上昇して競争力を失う。
RITEプロセスは、セルロースを糖化したC5、C6混合糖をコリネ菌と反応させてバイオ燃料や化学品を製造する。その際に栄養やエネルギー供給が不要で発酵阻害物質の影響を受けにくく、酵素使用を大幅に減らすことが可能。共同研究はRITEが国内でサンプルを製造して米国に輸出、NRELのバイオ燃料に関する幅広い技術蓄積やデータによって評価、量産化技術の確立に取り組む。
バイオ燃料を日本国内で量産化することは大きな壁がある。非可食の木材はチップ化して直接焼却するケースが多いなどから、原料バイオマスの調達量は限られ価格も高い。バイオマス燃料の量産化を進めるには、米国やブラジルなど農業生産国に立地せざるを得ない。RITEプロセスは海外に展開することで活躍の場が広がる。
一方でRITEプロセスは乳酸、コハク酸、プロパノール、芳香族、メチオニンなど付加価値の高いバイオマス化学品への展開も見込める。化学工業の持続的発展のためには、石油由来原料の依存度を低下させる取り組みも必要で、国内生産も期待できる。現状の国内立地では競争力が見込めないバイオ燃料も、長期的視点で技術を確立しておくことが大切だろう。