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2013年01月23日 前へ 前へ次へ 次へ

【2013挑戦】花王 澤田道隆社長

海外中間層の開拓が不可欠

▼...今年の消費環境はどう変わるとみていますか
 「キーワードは『転換』だ。安倍政権が本格スタートし、デフレ脱却を目指すための力強い成長戦略に軸足を移すことで大きな転換期に入るかもしれない。為替レートが適正に修正され、経済が上向きつつある状況になれば個人消費の低迷に変調の兆しもゼロではない」
 「足元では自分が本当に欲しいものとそうでないものを見極め、こだわるものにはお金を惜しまない購買傾向が顕著に出ている。消費者の行動がますます賢いものになりつつあるなか、売れるものづくりが重要になる」

▼...重点課題は
 「グループ全体の利益率で半分以上を占めるファブリック&ホームケアの盤石化を図るとともに、ビューティーケアとヒューマンヘルスケアの利益ある成長を加速する必要がある。国内をみると、ヘアケアは(中小メーカーによる)ノンシリコンをうたった高価格帯のシャンプーが新たな需要を喚起し、われわれも見方を変えないといけない。各社の新商品が相次いだトクホ(特定保健用食品)の飲料も販売競争は激しさを増すばかりだ。技術で差別化できる商品を築き上げながら消費者の心に響くマーケティング戦略が一段と求められる」

▼...海外市場をどう攻略しますか
 「これまでの富裕層の開拓とともに、伸びゆく中間所得者層に向けた商品の開発と展開を急ピッチで進めていく。M&A(合併・買収)も臆することなく挑戦していきたい。海外において全社員にはやらないリスクよりやるリスクをとろうと伝えている。グローバル化の源泉は過去の成長路線の延長線上にはない。ある一時期に飛躍的な伸びを遂げる不連続な成長を実現するためのベース作りに積極的な投資をしていく」

▼...重点市場の中国は
 「販売提携を結ぶ現地化粧品・日用品大手の上海家化連合の力を借り、今年から中国全土の本格的な開拓に踏み切る。生産面では安徽省合肥市のベビー用紙おむつ工場も予定通り稼働し、今月から中国版『メリーズ』の展開を始めた。現地の顧客ニーズに合わせた新しい紙おむつは、中国でのビジネスを占う大きな試金石となるだろう」

▼...新興国が主戦場となるなか、未進出の地域をどうみますか
 「経済成長にともない日用品市場の拡大が見込まれる新興国への対応は急務だ。例えばブラジルは専門チームを立ち上げ、引き続き市場調査を進めている。どうやれば戦え、勝てるのか早急に結論を出したいと考えている」
 「約9000万人の人口を抱え、平均年齢が20代後半と若いベトナムも伸びる余地は非常に大きい。同国ではすでにビジネスを展開しているが、規模はまだ小さい。注力する中国やインドネシアに次ぐ柱に育てたい」
(高橋篤志)

【記者から一言】
 「グローバルな視点ではわれわれの存在感を見せつけることができていない」と澤田社長が発言するように、今後も業績を伸ばすには花王といえども海外事業の拡大が不可欠。現在27%の海外売上高比率を中長期で50%超に高めるためにはスピード感のある経営が一段と問われそうだ。競合激化が進めば、中国のように各国で販売網を持つ現地企業と矢継ぎ早に業務提携を打ち出す可能性もある。澤田社長の今後の舵取りに注目したい。

(注)澤田道隆氏の「隆」は「生」の上に「一」が入ります


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