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2013年01月16日 前へ 前へ次へ 次へ

インクジェットの新たな革新を望む

 インクジェット技術の利用分野が急速に拡大、高度化している。3Dプリンターの登場やプリンテッドエレクトロニクスの進展、捺染業界におけるテキスタイルプリンターの世界規模での導入など、インクジェット技術を活用した各種装置やその関連材料の成長に拍車がかかっている。インクジェット技術の導入は省エネや地球環境保護に貢献し、新たなビジネスチャンスも見込める。簡単にコピーすることが難しい技術が多いことから、日本企業が技術的優位性を発揮できる分野でもある。インクジェット技術を保有する関連企業の活躍を期待したい。
 インクジェット技術を採用する最大のメリットは、材料を必要な時に必要な量だけを使用できること。顔料などを余分に消費しないため環境に優しいことに加え、多品種少量生産をオンデマンドで実現でき、顧客のニーズに応じた製品の迅速な提供が可能になる。さらに印刷される素材は紙や布にとどまらず、シリコンなど電子材料や建材などにも広がりつつある。
 例えば捺染業界におけるテキスタイルプリンターの普及進展は、世界的な環境保全の観点からみて望ましい状況といえるだろう。日本や欧州など先進国では、ロータリースクリーン捺染の現場で使用される染料や糊剤およびその排水などが適切に処理されるが、新興国の一部では作業現場や環境に放出されているケースも多く、そこで働く労働者の健康状態が懸念されるほどだ。新興国のインクジェット捺染の導入は、従来法に比べ材料の使用量、廃棄ロスが減少することからコスト削減のみならず、水使用量の低減や労働環境の改善にもつながる。
 社会貢献度が大きいインクジェット技術だが、さらなる普及のネックとなるのが技術面でのハードルの高さだろう。液滴サイズやその種類、吐出スピードなどを自在にコントロールしなければならない。またインクジェット捺染では、既存のロータリースクリーン捺染に比べプリント速度が遅いことも課題の一つである。
 ただ、このハードルの高さは日本企業にとってビジネスチャンスとなり得る。かつて日本が得意としたさまざまなエレクトロニクス製品は、韓国や台湾など海外勢の攻勢を受け苦境に立たされているが、一方でその製造装置や電子部品・材料関連ではいぜん優位性を保つものが多い。インクジェット技術に関しても、他国が容易に真似できない高度な技術を活用した展開が可能だ。国内産業の活性化のためにも、市場拡大が期待されるインクジェット技術の進展と、同技術に関わる日本企業のさらなる奮起を望みたい。


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