ニュースヘッドライン記事詳細

2012年12月28日 前へ 前へ次へ 次へ

中国 石炭系EG計画が続々主要合計能力360万トン

生産技術の開発進展
低い自給率も呼び水

【上海=白石孝祐】中国で石炭から生産する化学製品として、オレフィンに続きエチレングリコール(EG)への関心が高まっている。12月上旬、北京市で開かれたカンファレンスで講演した西北大学化工学院の馬暁迅院長によると「石炭を原料としたEG生産プロジェクトは主要計画合計で360万トン」。複数の研究機関で生産技術が確立されつつあるほか、輸入量が年々増え自給率向上が急務になっていることが要因。「エチレン法に比べ生産コストの大幅な低減が可能」(同)といった優位性から設備投資が本格化しそうだ。

※今年輸入800万トン突破ペース※
 中国政府は第12次5カ年計画に沿って合成繊維の中期発展計画を推進しており、15年に総生産能力4600万トンを目指している。これに対応すべく原料の自給率の引き上げが重視されており、高純度テレフタル酸(PTA)は新たな投資ラッシュを迎えている。半面、自給率が3割に満たないのがEG。
中国EGIM1.jpg 中国のEG輸入量は08年以降、年率10%を超える伸びが続く。繊維産業を含め中国経済全体が盛り上がりを欠く今年も、1〜10月累計は前年同期比14・6%増の670万トン。通年で800万トンを突破するペースだ。中国の生産能力は400万トン程度あるものの、「価格競争力に優れた中東品に押されている」(同)。馬院長は「中東品の影響だけでなく高止まりする原油価格、国内産原油の不足といった要因から中国では従来の石油由来の製法は競争力を欠く。資源が豊富で低価格な石炭を活用した生産が必然」と指摘する。

※各地でパイロット設備運用※
 石炭からのEG生産プロセスは、石炭をガス化して得られる合成ガスからの直接合成法と、合成ガスからシュウ酸ジメチル(DMO)などを経由して合成する間接法がある。直接合成法は「触媒を含めた技術難易度が高い」(同)ため、技術開発は間接法が主流となっている。間接法は日米、中国で80年代から研究が進められている。
 中国では中国科学院福建物質構造研究所、湖北省化学研究院、天津大学化工学院、華東理工大学および華誼集団上海焦化、上海浦景化工技術有限公司などがそれぞれパイロットプラントを運用中。規模で先行しているのは中国科学院福建物質機構研究所で、企業と連携して09年には年産20万トンの商業化モデル設備を立ち上げた。ただ、現状は「稼働率が5割前後にとどまっている」(同)。上海浦景は触媒技術でリードしており、「DMOの生産効率やEGの選択性などを国内で比較した場合で最良」(同)という。
 輸入増と技術開発の進展を背景にしてEGの商業生産計画が内モンゴル自治区や新疆ウイグル自治区、陝西省をはじめとした産炭地で活発に進められている。生産コストは「原油が1バーレル=80ドルの場合、石炭価格が580元で国内エチレン法と拮抗する」(同)と試算されている。石炭からのオレフィン生産(MTO)に比べ資源消費量も小さい。今後、さらなる技術改良とともに投資計画の具体化が進みそうだ。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.