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2012年12月25日 前へ 前へ次へ 次へ

フロン温暖化対策は多角的な視点で

 経済産業省と環境省は、地球温暖化防止に軸足を置いたフロン類対策の方向性を示し、パブリックコメントの募集を始めた。フロン対策はオゾン層破壊を防ぐため、モントリオール議定書に基づいて生産量および消費量の削減を進めてきた。今年は議定書採択25周年に当たるが、途上国も巻き込んだ国際連携による地球環境対策の成功例として評価できるだろう。
 オゾン層破壊物質のフェーズアウトを可能にしたのは代替フロンの開発が大きかったが、別リスクが発生した。代替フロンのハイドロフルオロカーボン(HFC)は、オゾン層を破壊しないもののCO2に比較して温暖化係数が数百倍以上大きく、京都議定書によって規制対象物質になった。HFCのほかパーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)が代替3ガスとして指定された。
 現状は、日本の温室効果ガス年間排出量約13億トンの中で2%以下だが、2020年に向けて冷凍空調用冷媒のHFCが急増して、10年比の排出量は倍増以上になると予想されている。このため、両省の審議会は冷媒対策を集中的に議論した。
 冷媒用フロンの排出ルートは使用時の漏れ、廃棄段階での放出が圧倒的に多い。これまで冷凍空調機器メーカーやユーザーにフロン放出抑制を指導してきたが、期待ほどの効果は上がっていないのが実態である。
 今回の対策で強調しているのは、ガス製造・使用・廃棄までのライフサイクル全体における事業者の取り組み、連携強化だ。ガスメーカーには温暖化係数の小さな代替フロンの開発を求めた。機器メーカーなどにはフロンの漏えい防止に加え、回収率の向上と再利用や破壊の実施など、拡大生産者責任の精神による改善も迫っている。
 代替ガスの開発は進んでいる。カーエアコン冷媒はハイドロフルオロオレフィン(HFO)123yfが検討されているが、可燃性物質ということもあって一部自動車メーカーでは本格導入に慎重という情報もある。業務用の冷凍空調機器ではアンモニアやCO2を冷媒にする動きがある。ただHFCを代替するには安全性、性能、コストや供給の継続性などをクリアすることが必要だ。
 経産、環境両省は01年に制定されたフロン回収・破壊法の改正を視野に入れて議論を重ねてきた。事業者の主体的取り組みを重視した内容になっており、課税、デポジット制度、課金など経済的手法の導入は先送りになった。代替フロンの温暖化対策においても費用対効果、安全性など新たなリスク軽減を含めた多角的な視点による制度構築が求められる。


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