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【連載(上)】 アンモニア 転機迎える基礎原料
内需120万トン時代が到来
生産縮小で供給に不安も
長い間、日本の化学産業の基礎原料として重要な役割を果たしてきたアンモニアに転機が訪れている。低迷が続く国内景気を受け、かつては160万トン台を誇った内需は130万トン割れが目前。自社生産撤退を打ち出すメーカーが相次ぎ、残された各社の供給責任は重さを増す。一方、世界的にアンモニア需要は成長が見込まれ、水素を貯蔵・運搬する機能も注目される。そうしたニーズに対応すべく、従来のエネルギー多消費型製造プロセスからの転換を目指す動きが出てきている。
(吉水暁)
※合繊原料向け低迷※
「アクリロニトリル(AN)、カプロラクタム(CPL)の不振がここまで大きく響くとは」。昭和電工の担当者は夏以降のアンモニア消費量の大ブレーキにため息をつく。合成繊維原料のAN、CPLはアンモニア内需の約4割を占める大口用途。近年は中国・アジア市場の旺盛な需要を背景に、後退局面にあったアンモニア内需を支えてきた。
しかし、市況の低迷を受けて域内のAN、CPLメーカーは減産に入り、アンモニア消費量が急減。ANは秋以降、前年同月比で7割の水準まで落ち込んでいる。
硝酸など誘導品類の需要が全般的に振るわず、自動車部品などの加工用途も低調。「唯一良いのは火力発電所の脱硝向け」(宇部興産)だが、これらの減少分を補うにはいたらず、新たな火力発電所の建設がないため伸びも限定的だ。
そのため、業界で囁かれているのがアンモニア内需120万トン台時代の到来だ。リーマン・ショック直後の2008〜09年度でさえ130万トン台半ばで踏みとどまっていたものの、大口用途のAN、CPLで持ち直しが見通せない以上、今年度は130万トンを割り込む可能性が大きい。各社は一段と縮む内需と真剣に向き合わざるを得ない状況となっている。
※輸入品調達に課題※
ただ、段階的に製造設備を統廃合すればよいのかというと、そう簡単にはいかない。各社のチェーンにアンモニアはしっかりと組み込まれ、「簡単には止められない」(メーカー)。アンモニアプラントが工場のユーティリティー供給源となっている場合も多く、バランスが崩れる懸念がある。
もう1つの問題は輸入品が安定調達できるかだ。縮小傾向の日本市場とは反対に、人口が増加基調にある新興国では肥料向けの消費が拡大し需給は締まっている。海外市況は高止まりが続いており、適正価格はおろか「必要量が確保できない局面も出てくるのでは」(大手化学元役員)との心配は常につきまとう。
※スワップ再構築を※
老朽化が進む国内アンモニア設備はトラブルを起こしやすく、三菱ガス化学が新潟工場で自社生産停止の意向を示した現在、「これ以上、設備が少なくなると代替供給も困難になるだろう」との声が複数のメーカーから上がっている。海外を含めて既存のスワップ枠組みを再構築することが急務となっている。
旭化成が自社生産から海外調達に切り替えたこともあり、輸入量は増加傾向にある。2〜3年以内に海外品抜きでは内需を支えられない時代が来るのは間違いない。「アンモニアは化学産業を支える重要な存在。輸入に頼るような風潮で果たしてよいのだろうか」という国内大手アンモニアメーカー役員のつぶやきが重く響く。