2012年12月の記事を読む
2012年11月の記事を読む
2012年10月の記事を読む
2012年9月の記事を読む
2012年8月の記事を読む
2012年7月の記事を読む
2012年6月の記事を読む
2012年5月の記事を読む
2012年4月の記事を読む
2012年3月の記事を読む
2012年2月の記事を読む
2012年1月の記事を読む
2011年12月の記事を読む
2011年11月の記事を読む
2011年10月の記事を読む
2011年9月の記事を読む
2011年8月の記事を読む
2011年7月の記事を読む
2011年6月の記事を読む
2011年5月の記事を読む
2011年4月の記事を読む
2011年3月の記事を読む
2011年2月の記事を読む
2011年1月の記事を読む
2010年12月の記事を読む
カーボンブラック 市場環境に変化の兆し
自動車関連など低調
中国勢がアジア攻勢
日本各社の舵取り難しく
カーボンブラックの市場環境に大きな変化の兆しが出てきた。先進国などの景気停滞が主力用途である自動車関連需要に波及、日中関係の冷え込みで日系自動車メーカーの販売減も影を落とす。中国最大手の黒猫炭黒有限公司は創業からわずか11年で7工場を有する巨大企業に成長し、低価格攻勢でアジア市場への輸出を伸ばしている。こうした市場環境変化への対応を含めた日本の各社の今後の動向が注目される。
※来年さらに厳しく※
昨年のカーボンブラック需給環境は東日本大震災やタイの洪水が影響したものの、工場などの復旧にともない徐々に改善。カーボンブラック協会が今夏に見直した2012年の需要予測によると、内需・輸出はともに再び増加に転じると見通した。
ところが欧州金融不安を端緒とする世界的な景気減速の影響が相次ぎ顕在化する。カーボンブラック協会がまとめた10月の需給状況をみると、生産量は5カ月連続の減少、出荷量は7カ月連続の減少と低調に推移。大手カーボンブラックメーカーは来年について「さらに厳しくなる可能性も否定できない」と懸念を隠さない。
一方、南米やアジアなどの新興市場では今後10年で年5ー10%成長を続けるとの予測も出ており、「新興国を中心に海外需要の伸びる余地はまだ十分にある」(大手首脳)と口を揃える。大手各社は海外生産体制の拡充を順次進めているが、ここにきて中国勢の存在感が急速に高まっていることが心配の種。
※輸入品比率高まる※
なかでも中国最大手の黒猫炭黒が生産能力を急速に増強しており、年内に前年比20万トン増の90年万トンに引き上げる見通し。能力拡大をテコにアジア市場にも食い込み始めている。中国全体の輸出量は11年に48万7000トンと前年の2倍以上に拡大し、今年は8月の時点で43万トンを上回っている(グローバル・トレード・アトラス調べ)。
中国品は日本市場にも影響を与える。今年の日本の輸入量は16万トンと、総需要の20%程度になると見込まれている。最も多いのはタイ品だが、これに続く中国品が増える傾向にある。大手首脳は「将来的に輸入品比率が25%を占めることも視野に入れなければならない」(大手首脳)との認識で、今後の事業戦略に影響を与える可能性も出てきた。
※大型買収の影響は※
こうしたなか、世界最大手の米キャボットが活性炭世界トップの蘭ノリットを買収することが明らかになる。年内にも買収手続きが完了する見通しで、水処理分野を中心とした活性炭事業に世界規模で参入する構えだ。「ノリットが有する独自技術や市場ポジションを当社のポートフォリオに組み込む」(キャボット首脳)とし、槽外型膜分離活性汚泥法(MBR)を用いた水浄化などに加え、キャボットが持つ各種炭素材料とのシナジーが期待される。
こうした動きを背景に各社は「今後の投資計画を見極めて総合的に判断しなければならない」とする半面、「世界で勝ち残るためにはスピードが重要」という相反する戦略が求められる。海外投資を含めた難しい舵取りを迫られそうだ。(及川紳一郎)
【写真説明】日中関係の冷え込みが自動車用途に影響するなど市場環境は厳しさを増している