ニュースヘッドライン記事詳細

2012年12月17日 前へ 前へ次へ 次へ

企業マインドの悪化を反映した短観

 日本銀行が先週末に発表した12月の全国企業短期観測調査(短観)は、事前の民間予想を上回る弱い内容となった。大企業製造業の業況判断DIはマイナス12、2期連続で悪化した。16業種のなかでプラスになっているのは木材・木製品のみで、内需依存比率の高い石油・石炭製品と食料品のゼロを除くと13業種がマイナスとなるなど、素材から加工などあらゆる製造業で業況悪化が続いている。
 11月初めに発表された上場企業の2012年度上半期業績および年度見通し、経済産業省の鉱工業生産動向などから大企業製造業DIの2期連続マイナスは予想されていたが、9月調査から9ポイントと大幅に悪化。3カ月後の先行きDIもマイナス10で、目立った改善は期待できないというのが産業界の大勢だ。DI悪化の要因は、新興国も含め世界経済の減速、尖閣問題や円高定着などによる企業業績の低迷のためだ。
 このなかで、大企業化学のDIはマイナス10、前回から6ポイント悪化している。各社の業績を支えてきた高純度テレフタル酸などの基礎化学品が中国需要の落ち込みで量、価格の両面で打撃を受けるとともに、液晶パネル向けなど高機能部材の収益も厳しい環境が続いたことを反映している。先行きDIもマイナス7と低迷が続く。
 ただ、化学の中堅企業のDIはプラス4、前回から6ポイント改善した。同じく中小企業はマイナス2で、大企業ほど業況感の悪化はない。中堅・中小企業は直接輸出比率が低いことで海外経済減速の影響が比較的軽微だったことが背景にありそうだが、先行きDIになると10ポイント程度の悪化となり楽観できる事業環境ではない。
 短観で日本経済を取り巻く環境は予想以上に厳しいことが示された。需給判断は供給超過、在庫は過大、販売価格は下落とする企業が圧倒的で、12年度の経常利益計画では素材系大企業の前年比28%減など苦戦が続きそうだ。
 明るい材料がないわけではない。短観調査時点には織り込んでいなかった円安傾向は企業業績には追い風になろう。大企業製造業の設備投資は前回調査からわずかに下方修正されたが、前年度比11%増と底堅く、中堅・中小企業も大きな計画見直しを行っていない。
 総選挙を終えて新政権発足に向けて動き出す。選挙戦で国民の関心は景気・雇用問題が最も高かったようだ。短観を受けて19-20日の日銀金融政策決定会合に注目が集まりそうだが、政権発足後の政治空白を起こすことなく、政府と日銀が足並みを揃えて的確かつ迅速な景気政策を求めたい。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.