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2012年12月13日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載(下)】塩ビ管 業界再編、シェア変動の行方

樹脂メーカー、管材商社との力関係の変化にも注目

 クボタシーアイは少なくとも年内は現状稼働率を維持する考えだが、業界の需要がそこまで増えているのかは不透明。足元で塩ビ管需要が増えるとすれば、東北の復興需要と住宅着工の増加によるもの。このうち住宅着工は今年10月に8万4251戸(前年同月比25%増、年率換算値は97万8000戸)となるなど、かなり好調に推移している。ただ、10月は住宅エコポイントの終了前の駆け込み需要もあったようで、この好調な数字が今後も続くかは見えていない。消費増税前の駆け込み需要も期待されているが、いまだ現実化はしていないようだ。東北の復興需要についても、昨年震災後に仮補修した下水道関連が本復旧に入っているとのことで、下水道については今年が需要のピークとみられるが、それでも今年を通して復興需要の押し上げ効果は3000ー4000トン、全需要の1%程度の効果に過ぎない。
 クボタシーアイによると、この先、東北3県で住宅地移転のための宅地造成や公営住宅の建設、農業分野も含めて「復興需要のピークとなるのは2ー3年先」という。宮城県が5年ほどで需要が一巡するとみられるのに対し、岩手県は7ー8年かかるとされ、福島県は原発の問題から見通しにくい状況。同社では今後5年間に発生する復興需要は累計3万トン、その後5年でさらに2万ー3万トンの需要がプラスされる見方をしており、ピーク時の管材需要は7000ー8000トンとみる。年間30万トン強の塩ビ管需要にとっては大きいといえば大きいが、爆発的な押し上げ効果になるほどではなさそうだ。
 一方、気にかかるのは、業界間の力関係の変化。塩ビ樹脂メーカーにとっては、主力用途である塩ビ管大手が2社に集約されたことは顧客のバイイングパワーが強まるという意味で、厳しさが強まることになる。積水化学はグループ会社に公称能力として年産11万トン強の能力をもつ塩ビ樹脂メーカーである徳山積水工業を保有しており、一時はほぼ自社生産で賄えるのでは、との見方もされた。ただ、徳山積水は塩素化塩ビ樹脂(CPVC)の増強を発表しており、汎用タイプのサスペンションの生産を絞る方向にある。このため、従来三菱樹脂が購入していた規模程度は外部調達することになるもよう。三菱樹脂の美祢工場(山口県)への販売を一手に受けていた新第一塩ビも「九州地域などの管材工場への販売を見込めており、今回の件で販売量を落とすことにはならない」としている。
 流通サイドも状況は大きく変わる。これまでは複数メーカーから調達する「併売店」が比較的有利な価格で仕入れられる傾向が強かったという。しかし、塩ビ管大手2社体制時代の到来で、自社製品の専売店により協力的な販売戦略をとろうとする機運が生まれる可能性がある。逆に両社を天秤にかけてうまく立ち回ろうとする流通業者もいるかもしれない。
 そもそも、塩ビ管業界が成長期にあるときは販売チャンネルの拡大がすなわち売り上げの拡大ということにつながった。しかし、業界が成熟し、縮小傾向をたどる時代にはメーカー、流通それぞれが魅力ある提案を行えることが生き残りのカギとなる。メーカー数が限定されるなか、流通は販売力などで特徴を追求していかなければならない。それができなければ、復興需要や消費増税以降、需要が一段とシュリンクした際に淘汰・再編の憂き目にあうことになりかねない。同時に、メーカーにとっても商品の品揃えや価格面、即納体制などを強化していくことがこれまで以上に重要になるだろう。


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