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2012年12月12日 前へ 前へ次へ 次へ

中小企業の国際化へ人材育成支援を

 今年の中小企業白書によると、従業者4人以上の製造事業所を保有する中小企業は約21万社、この中で輸出を行っている企業は2・8%にとどまる。ただ輸出比率は着実に上昇しており、取引先企業の要請や円高の定着で現地生産が迫られている企業も多い。投資に踏み切るには、資金の確保ととも海外事業を推進できる人材がカギを握っている。
 白書では、直接投資を行うことで懸念される国内空洞化は進まず、逆に高度な技術が必要な高付加価値製品に展開して、国内事業が活性化する好循環が生まれているケースが多いと指摘した。この実態を後押しするため経済産業省と外務省は、中小企業のグローバル人材育成を目的に日本貿易振興機構(ジェトロ)のインターシップ派遣事業と、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊事業を協力して進めている。
 インターンシップ事業はベトナム、インド、インドネシア、フィリピンなどの10カ国に派遣しており、交渉力やコミュニケーション能力の養成、人的ネットワーク形成や市場調査などを行っている。長い歴史があるJICAの海外協力隊事業では、企業のニーズを踏まえて営業から技術系まで幅広い職種を対象にオーダーメイドの訓練を可能にしていることが特徴だ。
 この制度を利用して金属プレス部品・金型およびインサート部品メーカーのスミテック(千葉県野田市)は2009年、ベトナム進出を決定、昨年から稼働を開始した。同社は顧客の大手企業の海外生産シフトに対応して決断したが、トップは数年前から海外生産に備え、派遣する技術者を指名、研修事業に参加させるなど準備してきた。
 製造業企業の海外展開はサービス業のビジネスチャンスにつながる。廃棄物処理業で発足、その後測定・分析やコンサルティングなど幅広く環境ビジネスを展開している日吉(滋賀県近江八幡市)は、新興国の工業化による環境ビジネス拡大に着目してきた。とくに有害化学物質として国際的に規制が始まったPOPs(残留性有機汚染物質)を計測するバイオアッセイを独自に開発して国際展開に乗り出している。環境分析企業としては現地政府や地元大学から信頼、連携が不可欠として、製造業とは違う視点で人材育成に取り組んできた。
 中小企業にとって海外事業のリスクは大きいが、避けて通れない時代になっている。ただ、安い人件費に着目した海外展開だけでは壁にぶつかる。現場を支えるグローバル人材の育成を急ぐとともに、トップが明確なビジョンを示し、率先垂範による実行が求められる。


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