2012年12月の記事を読む
2012年11月の記事を読む
2012年10月の記事を読む
2012年9月の記事を読む
2012年8月の記事を読む
2012年7月の記事を読む
2012年6月の記事を読む
2012年5月の記事を読む
2012年4月の記事を読む
2012年3月の記事を読む
2012年2月の記事を読む
2012年1月の記事を読む
2011年12月の記事を読む
2011年11月の記事を読む
2011年10月の記事を読む
2011年9月の記事を読む
2011年8月の記事を読む
2011年7月の記事を読む
2011年6月の記事を読む
2011年5月の記事を読む
2011年4月の記事を読む
2011年3月の記事を読む
2011年2月の記事を読む
2011年1月の記事を読む
2010年12月の記事を読む
注視すべきドイツの再生エネ政策
日本では「脱原発」が衆院選の争点となって行方が注目されているが、2000年から脱原発・再生エネルギー増加に舵を切ったドイツでは、今春から電気料金高を背景に太陽光発電の買い取り価格の引き下げが実施された。実質的な太陽光発電の抑制となる。総選挙に突入して、日本のエネルギー政策は宙に浮いた形だが、今後の最適エネルギー・ミックスを考えるうえで他山の石とすべきだ。
日本では今年7月、太陽光など再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)がスタートした。FIT価格が大きな関心事となったが、最終的に初年度の太陽光の買い取り価格は、kWh42円(出力10kW以上)と、一般家庭向け料金の1・8倍に設定された。電力会社は、国が定める価格で長期間買い取ることが義務付けられる。
FITを契機として、全国でメガソーラー計画が目白押しの状態にある。遊休地の活用ができるとあって、企業や地方自治体が相次いで参入している。こうした恩恵を太陽電池各社も受けて、販売は順調に拡大しているようだ。しかし、太陽光発電が今後、安定した電力供給を担うには、発電コストの低減を通じて家庭向け電気料金と同等レベルになる「グリッド・パリティ」を実現する必要がある。
確かに、変換効率は着実に上がるだろうが、原発の再稼働の見通しが立たないなかで火力発電のコストは上昇している。一方で、低価格を武器にした海外太陽光発電メーカーの市場参入で競合が激化、パネルの原材料市場は採算維持が難しい状況に置かれつつある。産業としての健全な発展が保証されているわけではない。
太陽光発電の世界最大手、Qセルズの経営破綻、韓国ハンファの買収を誘発したのは、買い取り価格の引き下げだったとの指摘がある。FITを背景にドイツの太陽光発電は全体の発電容量の15%近くに増加したが、実際の発電量は3・3%にとどまる一方、消費者への賦課金が大幅に膨らんでいる。今回の再生エネの見直しは、火力や原発などとの併存のなかで今後のエネルギー戦略を探る政府の指針を示したといえる。
もっとも、2000年代後半にはスペインでFITがバブルを経て破綻しており、ドイツはそれを教訓化、軟着陸へ舵を切ったともいえる。米国でも、オバマ政権が掲げた太陽光発電などのグリーンイノベーション戦略が大きな修正を迫られているのは周知の通りだ。
総選挙後の新政権は、電力を含む戦略的なエネルギー政策の策定が喫緊の課題となる。再生エネ産業が置かれた状況は、必ずしも楽観を許さない。