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2012年12月03日 前へ 前へ次へ 次へ

再認識したいビタミンの果たす役割

 ビタミンの発見から100年以上が過ぎた。ビタミンは微量有機栄養素で、正常な生理機能を営むために必要不可欠と、日本ビタミン学会のホームページに記されている。しかし、必要な量を体内で作れないため、災害時にはビタミンが欠乏して体調を崩す人が少なくない。100年を経た今、ビタミンの重要性を再確認したいと思う。
 ビタミンを発見したのは日本農芸化学会の創設者で、初代会長の鈴木梅太郎博士。1910年に、後にビタミンB1と特定される物質を見いだした。2年後に鈴木博士が発見した同じ物質をカシミール・フンク博士が分離した。生命「vital」に必要で、窒素を含むアミン化合物「amine」という意味を反映してビタミン「vitamin」と命名した。
 このビタミンB1が不足して起こる脚気は、古くは「江戸わずらい」とも言われた。白米を食べる習慣が広まった江戸時代に流行した。ビタミン大手のDSM ニュートリションジャパンが開催した「ビタミン命名100周年記念シンポジウム」で講演した日本ビタミン学会の福澤健治会長は、1883年に遠洋航海に出でいた海軍の練習船の376人の乗組員のうち169人が脚気に罹り、翌年の遠洋航海では麦飯主体の食事や洋食に切り替えたことでほとんどの乗組員が脚気を発症せずに帰国し、ここでも脚気の発症に食事が関与することが分かった点を紹介した。
 食生活が充実した今日でも偏った食事が続くとビタミン欠乏症になる。シンポジウムで講演したせんぽ東京高輪病院の足立香代子栄養管理室室長によると、東日本大震災の被災地でもビタミン欠乏症に悩まされた人が少なくなかった。被災後の食事は炭水化物が中心で、これが長く続いた結果、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足し、しかも栄養障害のリスクに気が付かないケースもあったという。偏った食事を続けた場合も同様で、先進国ではビタミンの摂取が不足した状態にあることが明らかになっている。
 今日では多くのビタミンが見いだされている。日本ビタミン学会のホームページは、「一般に13種類の化合物がビタミンと呼ばれています」と紹介している。この日本ビタミン学会は2010年、会則を「本会はビタミン学の進歩、発展に貢献することを目的とする」から「本会はビタミン学の進歩、発展に貢献し、もって国民の健康増進に寄与することを目的とする」に変更した。同学会がその会則変更によって、重要な栄養素であることを示すビタミンと私たちの健康の関わりを、もっと広く知らしめることを期待したい。


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