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2012年11月21日 前へ 前へ次へ 次へ

無機化学品 原料輸入ソース多角化

中国リスク回避

 無機薬品の輸入構造が大きく変化している。リン化合物などの日本メーカーや商社が原料調達面で中国集中リスクを回避すべく、他国からも並行輸入する"チャイナプラスワン"を本格化。リンや炭酸ストロンチウムはベトナムやドイツなどが中国から輸入シェアを奪っている。中長期的に中国国内の経済成長にともない、現地では無機薬品の価格が軒並み上昇することが予想されており、国内では蛍石など他の無機薬品や原料にも同様の動きが広まると予想されている。

※リン、ベトナム産が大幅に増加※
 リン化合物やフッ酸などの無機薬品は、肥料や電子材料、食品添加物、自動車部材など用途が多岐にわたり、あらゆる産業に不可欠な化学品として需要は堅調に推移している。日本では輸入品に全量を依存しており、とくに資源埋蔵量が豊富な中国では原料面で品質やコストに優位性を持っていたため、主要化学メーカーが中国品を採用し国内輸入量の大半を占めていた。
 しかし、今年に入ってから無機薬品および原料である資源鉱物の輸入勢力図が一変。昨年まで中国品が国内輸入量のうち約6割を占めていたリンは直近(今年1〜10月)の実績でベトナム品が9372トンと前年同期比45%も伸長し、4170トンの中国品との輸入比率が逆転。炭酸ストロンチウムも中国からの輸入量が前年水準に比べて半分以下に減り、ドイツ品が相対的にシェアを高めることになった。昨年からの中国国内での資源囲い込みや原料採掘の引き締めによる市況高騰に嫌気した企業が購入を控え、中国品に比べて1〜2割安いというコストメリットから他国品にシフトしたとみられている。

※蛍石も他国産を使いこなす試み※ フッ素化学品の原料となる蛍石は、いぜん中国品が品質面などから優位性が保持されている。しかし、中国国内では中長期的に冷媒向け需要などが伸長し需給バランスがタイトになると予想されている。このため、国内の需要家は非中国産蛍石を実用化しようとする動きが目立っている。ステラケミファは不純物の鉄分が含まれるアフリカ品の精製技術を確立したほか、ダイキン工業などもメキシコ品利用などを進めている。現在、蛍石市況は中国経済成長の減速にともない弱含んでいるが、「将来的に1億〜2億トン規模の蛍石が埋蔵されているとみられる南アフリカやモンゴル、メキシコなどからの供給が増えるだろう」(双日・鉱産部の塗師尾努課長)と予想されている。

※内需回復で市況上昇する予想も※
 これらの無機薬品、その原料鉱物の市況は、中国の景気減速にともなう需要の冷え込みにより乱高下することなく落ち着いた値動きをみせている。しかし、来年以降、中国経済が回復した際には内需拡大にともない無機薬品市況が軒並み上昇することが予想されている。今後、中国品の市況上昇を機にリンや蛍石だけでなく、他の無機化学品でもコストメリットを求め他国品にシフトする可能性が大きい。
 日本企業が中国以外の無機薬品やその原料の調達を進めたとしても、中国は原料資源量が豊富で消費力も圧倒的に大きいため、市場全体を牽引する立場にあることは変わらない。しかし、将来的なチャイナリスクを低減していくためにも日本企業が中国以外からの輸入にシフトする必要性はますます高くなるとみられている。
(高橋芙由美)


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