ニュースヘッドライン記事詳細

2012年11月14日 前へ 前へ次へ 次へ

ヒトの世界で進む絶滅寸前の職種

 生物の多様性が急速に失われている。世界各国の危機感は強く、インドで先月開かれたCOP11では生態系保全に必要な資金について「2015年までに途上国への資金の流れを2倍にする」との目標を採択した。「15年」をめぐっては、「20年」を主張する先進国側が反発したが、なんとか合意にこぎつけた▼日本では環境省が、絶滅の恐れのある野生生物を調べた「レッドリスト」を見直し、ニホンカワウソを絶滅危惧種から「絶滅種」に指定した。河童のモデルともいわれるこの動物、最後の目撃が1979年というから、もう年以上、ヒトの目にふれることはなかった▼そのヒトの世界でも、絶滅危惧種があるという。『職業外伝』(ポプラ文庫・2巻編)は、普段まず知り合うことがないような、絶滅寸前の職種に携わる人たちの物語だ。イタコ、映画看板絵師、鵜匠、琵琶盲僧、蝋人形師、チンドン屋、流し、飴細工師、銭湯絵師、へび屋、街頭紙芝居師、紙漉人、幇間、彫師などなど▼世の中のニーズがなくなるから、職業がなくなる。それはやむを得ないことだが、さりとて、そう簡単に片付けてはならないと思わされる、みごとな職業意識と生き様が描かれている▼自然も社会も多様なほうが活気があって面白い。"さまざま"という言葉の奥深さを再認識したい。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.