ニュースヘッドライン記事詳細

2012年10月30日 前へ 前へ次へ 次へ

間伐材を自家発電に広げる仕組みを

 再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の導入で再び注目を集める木質バイオマス発電。太陽光や風力に比べ出力が安定している、カーボンニュートラルで発電時のCO2排出量が計上されないことが特徴だ。間伐材など未利用木材を活用できれば、経済林の適正な管理が促され荒廃した山林の再生が進む可能性もある。発電事業の拡大が見込まれているが、製造業での活用も期待したい。
 木質バイオマス発電の拡大には、燃料となる木質チップの安定供給が不可欠となる。2002年に政府が「バイオマス・ニッポン総合戦略」を打ち出したのを機に発電所の建設が相次いだが、建設廃材などの争奪戦が起こる一方で間伐材の利用が進まず、木質チップ不足および価格の高騰を招いた。撤退・縮小を余儀なくされた事業者も少なくない。
 間伐材の利用が進まないのは、搬出に膨大なコストがかかるため。伐採されてもそのまま放置されることが多い。農林水産省の推計では、放置された未利用木材は年間800万トンにのぼる。間伐材を上手く利用できれば木質バイオマス発電は大きなポテンシャルを発揮する。
 FITでは未利用木材の買い取り価格が33・6円と、一般木材、リサイクル木材よりも高く設定された。利用の拡大が期待されており、7月には福島県会津若松市で国内初の間伐材専用発電所が営業運転を始めた。長野県や岡山県、大分県でも建設・稼働が計画されている。
 木質バイオマスには、自家発電設備を保有する製造業も注目している。工場における安定的な電力確保が課題となっているが、コストや地球温暖化防止の視点に立てば重油や石炭の使用は増やしたくない。木質バイオマス発電は有力な選択肢となっており、石炭との混焼発電などによる木質バイオマスの利用が始まっている。
 周辺の山林で発生する間伐材を使用することで、地元の林業の活性化にも寄与できる。伐採、植林、育成という木質バイオマスの地産地消システムが構築されれば、森林の再生にもつながる。企業活動と生物多様性の保全活動を有機的に結びつける意味でも、積極的に使っていくことが望まれる。
 課題となるのが、建築廃材のを使った木質チップの2倍といわれる調達コスト。FITが適応されない自家消費においては、利用したくても利用できないのが現状だ。わが国製造業は、コスト削減、電力の安定確保、環境配慮の3つをいかに両立させるか苦慮している。皆伐を引き起こさないことが大前提となるが、発電以外で間伐材を利用しやすくする仕組みも必要だ。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.