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2012年10月30日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載】アクリル酸・SAP 曲がり角の中国市場(上)

過剰懸念高まるアクリル酸
需要を上回る新増設計

 中国でアクリル酸・同エステルの供給能力が過剰局面を迎えている。2ケタ成長を続ける需要を背景に新増設が活発となり、2012年はこれまでに合計約50万トンが加わった。一方、需要は「業界内の今年の成長率見通しはバラつきがあるものの10%から20%程度」(市場関係者)で、12年は120万トン程度と予測されている。生産能力は11年末段階でこの水準に達しており、さらに計画通りに増強が進めば大幅な過剰となりそう。(上海支局=白石孝祐)

BASF南京1.jpg 近年、中国のアクリル酸需要は年率10%を超える成長が続いてきた。高吸水性樹脂(SAP)をはじめとして水処理剤、塗料、接着剤、繊維などの用途分野がいずれも拡大基調にあることが背景にある。
 この成長需要を取り込むため、中国企業だけでなく外資系企業も加わった新増設計画が各地で浮上している。とくに中国資本では10年から11年前半にかけての高騰も投資を後押ししたといわれる。この時期、需給バランスのタイト化でアクリル酸ブチルの中国国内価格は1トン当たり2万元を突破した。

※来年以降も相次ぐ※
 今年に入って江蘇裕廊が泰興市(江蘇省)で年産能力16万トンのアクリル酸設備を立ち上げた。春には三木集団の同8万トン設備も稼働を開始した。さらに、すでに完成していた中国海洋石油(CNOOC)・恵州の同16万トン設備が8月下旬、商業運転に入っている。江蘇裕廊は第2期として同16万トン設備を年内に立ち上げる予定。
 13年以降に稼働が見込まれる計画としては台湾の粘着材・包装材料メーカーの炎州集団が南通で4月に8万トンのアクリル酸と同規模のアクリル酸ブチルの建設に着手した。また、ポリウレタン大手の煙台万華がプロパン脱水素によるC3誘導品拡大戦略にアクリル酸を据えている。合計30万トンの生産能力を形成する構え。山東開泰もアクリル酸8万トン新設計画を進めている。

※実需盛り上がらず※
 市況は世界的な景気低迷の影響から実需が盛り上がりを欠いている状況下、11年後半以降は下げ基調を継いできた。一時は1トン当たり1万2000元を割り込んだものの、7月に入って原油やプロピレン、アルコール類の価格上昇を材料にようやく底を打った。
 その後、各社の生産調整に加えて国慶節前後に中国主要メーカーで相次ぎプラントトラブルが発生。国慶節前に需要家が在庫水準を落としていたため、「ディーラーを中心として一気に買いが進んだ」(市場関係者)。一部メーカーでは数回にわたり価格引き上げを実施しており、足元ではアクリル酸が1トン当たり1万6000ー1万6500元、アクリル酸ブチルで同1万8000元前後が取引の主流。実需が盛り上がりを欠く状況は続いており、どの程度騰勢が続くかは不透明だ。(写真はBASF南京のプラント)


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