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2012年10月25日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載】安全はすべてに優先 現場力維持・向上のために(中)

自主評価で基盤底上げ

※結果を蓄積、相対比較が可能に※
 安全工学会が開発した保安力評価システムは、安全基盤(マネジメントを含むプロセス技術基盤)、安全文化(安全基盤を支える風土)の達成度を5段階で評価するレイティングシステム。安全レベルが点数で出るため具体的な強み・弱みが分かりやすく、保安力を向上させるための道筋も見いだしやすい。安全基盤は10項目について約100の設問が、安全文化は7項目で約80の設問が設定されている。
 各社の自主評価結果は保安力向上センターのデータベース(DB)に蓄積される。データは評価員が分析し、レーダーチャートなどを用い保安力を総合評価する。データベースが充実すれば評価結果と安全成績の関係性が明確になり、業界における自社の相対的なレベル、年次トレンドなどを抽出するとともに、業界各社の優良事例を共有化することが可能になる。
 20社近い大手石油化学企業が保安力評価システムを使った事業所の自主評価を検討している。評価項目の検証・改善を目的に、石化メーカー数社の協力を得て試行評価を実施。自主評価の手引きとなる解説書の作成も進めている。第三者評価を行う評価員の研修を始めており、順次、各社で自主評価が開始される見通し。

※実力分かり改善点もはっきりと※
 試行作業に参加した旭化成は、高圧ガス自主保安認定事業所2拠点と非認定事業所1拠点で安全基盤の実力を評価。それぞれ国内最高、国内標準レベルと診断された。リスクアセスメント、教育などレベルアップを確認できるなど、「実力が明確に分かり、さらに良くするための改善点もはっきりと出た」ことが大きな成果だ。
 同社は2002年3月に発生した延岡地区(宮崎県)のナイロン繊維工場火災事故を踏まえ、設備設計思想から管理体制まで安全対策を全面的に見直し全社に水平展開している。「火災の前年まで8年間、延岡地区では保安事故がなかったが、無事故は必ずしも高い安全レベルを示すものではない」ことが教訓の1つになった。
 リスクアセスメントなどに基づき保安防災、労働安全を図っているが、「現場で日々設備を見続けると、危険な設備も危険にみえなくなりがち」という。新規プラント投資を行う際、持株会社が安全性を事前審査しているが、既存設備も持株会社と事業会社、工場が連携して安全性をチェックする「既存設備総点検」を開始している。
 グローバル化の進展にともない、旭化成をはじめ石化各社の海外事業の比率は高まっている。海外事業所の安全保持も課題となっているが、海外は関連法規制が異なり考え方も違う。「(保安力評価システムなどによる)自主評価に基づき安全レベルを底上げしておくことが重要になる」という。安全基盤の評価から始めたが、安全文化についても自主評価を順次行う計画だ。


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