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問われる事故の構造的要因への対処
相次ぐ化学プラント事故に抜本的な対策が求められている。この間発生した事故の原因が明らかになっており、熟練技術者の退職と技術伝承が十分でないことなどによる現場力の低下、設備の老朽化に加えて、日本と欧米のリスク管理のあり方など構造的課題が浮かび上がっている。経済産業省は産業構造審議会において、産業事故軽減に向けて法規制の見直しを含めた検討を開始するなど、行政も対策に動き出した。
石油化学工業協会が先週末開催した保安推進会議には、石油化学企業の保安関係者が例年以上に参加した。目立ったのが工場で環境保安に携わる現場の責任者である。講演では、昨年11月に南陽事業所で塩ビモノマー設備の火災爆発事故を起こした東ソーの事故調査報告などに、真剣な聴講が続いた。
特別講演で「最近の化学プラントの事故と安全管理の課題」を行った東京農工大学の中村昌充教授の事故分析に基づく指摘は、直面する課題を的確に抽出して示唆に富んでいた。この間起きた事故の多くは、非定常状態や緊急停止への対応時に発生のほか、設備の老朽化に起因するケースが多いという。これに対して製造および設備などの総合的な現場の判断や行動に関する応能力の低下を指摘した。
この対策としては現場力の低下を前提にした安全管理を求める。リスクアセスメントの徹底、設備を変更する際の情報伝達、さらに設備設計・開発段階からのリスク削減など幅広い見直しが必要とする。さらに欧米企業がリスクに優先順位を付け、重大事故が予想される際には、設備停止に踏み切る意思決定を学ぶべきという。
このようなリスク管理を実行するには、現場で設備・システムに携わる技術者に責任を押し付けるだけでは解決しない。トラブルが発生した際に、設備を停止することによる経済的損失のほか、供給責任を果たすためプラント停止を決断しにくい環境も生まれている。収益重視の圧力から、設備更新投資を先送りするケースも指摘されている。その意味で、安全文化の構築には経営トップの責任がこれまで以上に大きくなっている。
事故防止に向けて、企業は安全管理体制の再点検が急務であり、トップのリーダーシップが問われている。一方、行政も事故多発を受けて規制見直しの動きが出ている。高圧ガス保安法などを所管する経産省は産構審において検討することを決めた。これまで明らかになった事故背景などを緻密に分析して、規制の視点からだけではなく、事故の構造的要因を取り除く取り組みを支援することも重要になるだろう。