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【連載】シェールガス開発で注目 ドリリングケミカル(下)
成長見込み企業活動活発
※WBM需要は年5000万トンに※
ドリリングケミカルの市場規模は、正確には分かっていない。数量的には掘削泥水(WBM)向けの需要量は年5000万トンに達し、そのうち主に加重剤に使われるバライトなどの砂系統の鉱産物が4000万トン、これら砂類を被覆する樹脂類が500万トン、セラミックスが500万トンほどあるといわれる。
これだけでもすでに大きな市場となっているが、注目すべきはその成長性にある。一般にWBMとフラクチャリング流体の需要量はリグ(掘削装置)数に比例すると考えられている。そのリグ数はシェールガス・オイル生産の主産地である米国において1990年代後半は1000を割り込んでいたが00年代に入り急増、足元では約2000に達している。そのうえ掘削距離の深さとフラクチャリング工程の誕生によって、井戸1本当たりの水や使用物質の量はかつてよりはるかに多い。さらにシェール層の開発は米国から中国、アフリカなど世界的に進むとみられている。
※北米でフェノール樹脂生産拡大※
こうした有望市場の出現を踏まえた企業活動も活発となってきた。ドリリングケミカル向け需要が1年で2倍にも伸び、年20万トンほどに成長してきたフェノール樹脂では北米のメーカーが相次ぎ増産投資を決定。日本勢でも住友ベークライトが北米で増産する。ポリ乳酸(PLA)業界でも新たな需要が創出されつつあることへの期待が高まっている。世界最大手のネイチャーワークスはドリリング用途を中心とした新市場で「1日10件ほど話が来ている」(マーク・フェルブルーゲンCEO)として、最適グレードの開発を積極化。米ダウ・ケミカルはシェールガス掘削向けの特殊アミンを開発、拡販に乗り出した。
クレハは飲料ボトル向けの展開を主に考えていた新規事業のポリグリコール酸(PGA)をドリリングケミカル用中心に供給する方針を固めている。プラント起工時には「考えてもいなかった用途」(同社)を軸とする方向へと短期間に事業戦略を転換することになる。総合商社ではドリリングケミカルのなかでも最も使用量が多いとされるバライトで双日
がメキシコの鉱山に出資。これを皮切りに市場の情報をいち早く集積し、ドリリングケミカル分野の総合サプライヤーになる戦略を描いている。
※環境対応製品へ移行する動きも※
ドリリングケミカルは開花したばかりの市場だけに、使用される化学品・材料の変化も著しい。とくにシェールガス開発に際しての最大の課題ともいわれる環境問題に対応した製品への移行が進んでいる。グアーガムなど天産品やPLA、PGAなど生分解性を持った樹脂の需要が急増しているのも環境対応性との関連が大きい。環境問題に限らず掘削法や北米以外の地域での掘削が増えるなどの変化に合わせ、今後も必要とされる材料が変わっていくと考えられる。PGAのように突然ドリリングケミカル用途が出現するような現象も頻繁に起こることは間違いない。ドリリングケミカルはあらゆる可能性を秘めた化学産業の新天地といってよさそうだ。
(了)
【写真説明】双日バライト選鉱工場 バライトはドリリングケミカルで最も使用量が多い。双日はメキシコの鉱山に出資した