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広がる膜分離技術の多様な用途開発
省エネルギーに優れる膜分離プロセスが環境・エネルギー分野で注目されている。分離膜は高分子系と無機系に大別でき、用途開発は浄水製造や排水処理などの水分野が先行して実用化されている。最近脚光を浴びているのが水素製造やCO2などガス分離で、日本の技術蓄積を生かし実用化を期待したい。
膜分離のなかで長い歴史があるのが水処理用の高分子膜。日本の逆浸透(RO)、精密ろ過(MF)、限外ろ過(UF)技術は世界トップレベルで、世界シェアは約45%と推定され、海水淡水化用RO膜に限定すると約70%といわれる。
セラミック膜など無機系は、高分子膜が使用できない有機溶剤の分離などで開発が始まったが、最近では水処理でも実績が生まれている。世界市場を対象に国家戦略として推進している水インフラ事業の強化に、幅広い膜分離技術を提供できる日本企業の技術力は武器になる。
膜分離プロセスの新たな応用分野として注目されるのがガス分離だ。具体的にはクリーンエネルギーとして注目されている水素をメタン、有機ハイドライド、アンモニアなどから製造するために触媒反応と膜分離を組み合わせた膜型反応器(メンブレンリアクター)開発などの研究成果が発表されている。
地球温暖化対策としてCO2回収・貯留(CCS)が重要なオプションとなっている。原子力発電依存を軽減するため、太陽光など再生可能エネルギーに期待が集まるが、安定供給やコストなどの課題が残る。石炭火力は資源が豊富でコスト優位性もあるが、難点はCO2排出量が大きいことだ。この有力な対策になりそうなのがCCSだが、ようやく実証実験が開始される段階で、技術開発のスピードアップが求められている。
このなかでCCSコストの6割以上を占めるといわれるCO2の分離回収コストの低減が課題になる。現在開発が進んでいるのは薬品を使う化学吸収法だが、相変化を伴わない膜分離に関心が集まっている。この開発に地球環境産業技術研究機構(RITE)が中核になって設立した次世代型膜モジュール技術研究組合が革新的CO2分離膜開発に挑戦している。
研究組合にはクラレ、日東電工、新日鉄住金エンジニアリングが参加して次世代型分子ゲート機能CO2分離膜モジュールの開発を立ち上げた。化学吸収法に比較して大幅なコスト削減を目指している。
ガス分離でも高分子膜に加えてゼオライト系などの無機膜からの挑戦も始まっている。世界的に注目されているシェールガスの分離、次世代化学プロセスへの展開なども期待したい。