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2012年10月11日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載】インド製薬産業 持続成長への課題(上)

3年で輸出高倍増へ
外資には規制強化の動き

 世界の医薬品工場を目指しているインドの製薬産業。世界的なジェネリック医薬品(後発薬)ニーズの高まりを受けて海外進出への意欲をさらに高めており、2年後には製薬関連の輸出高を250億ドル以上にする目標を掲げる。一方、インド事業を強化したい外資系企業にとってはM&A(合併・買収)規制の強化、特許係争、薬価引き下げなどの動きが浮上、事業戦略の見直しを迫られる課題も浮上している。(赤羽環希)

※各国でキャンペーン※
 9月末、インド商工省傘下の外郭団体であるPharmexcil(製薬輸出促進協議会)が開催した年次イベントで、関連省庁の高級官僚や大手製薬トップらがインド製薬産業の成長戦略について語り合った。彼らが掲げる目標は2014年末までに製薬産業の輸出高を250億ドルにすること。昨年の実績(約130億ドル)から3年間でほぼ倍増させる計画だが、「07年度から年平均(CAGR)20%の成長が続いてきたことを考えれば実現可能な数値」(N・RムンジャルPharmexcil会長)と強気な姿勢だ。
 インド政府は今年、自国の製薬産業を世界に売り込むブランディング・キャンペーンを開始。3月に開催されたCPhIジャパンを皮切りに、政府高官や大手企業トップを率いて世界各国を回っている。向こう3年間で約400億ドル規模の医薬品が特許満了するとみており、この新規市場の獲得をにらみ官民総出で攻勢をかける。

※全額出資に反対の声※
 ただ、インド国内の投資環境は決して明るくない。今年4ー6月の外国直接投資(FDI)は前年同期比65%減、国民総生産(GDP)成長率は5%台に鈍化しており、景気の減速感が鮮明になっている。投資の呼び戻しで成長回復を図りたい政府は、FDI政策の規制緩和などを打ち出しているが、外資によるM&A増加を警戒して規制強化を求める意見も少なくない。とくに製薬分野では外資参入が高まることで国内の薬価上昇を懸念する見方もあり、外資系企業の100%出資を禁止すべきとの声は根強い。
 政府は小売業、航空、電力分野のFDI規制を緩和する一方、製薬分野では規制強化を検討している。これまで企業買収の場合も関連省庁の審査が不要な「自動承認」制度が適用されてきたが、外資によるM&Aなどの投資案件(ブラウン・フィールド)について、(1)複数の省庁や投資関連委員会からの認可取得(2)少なくとも5年間はエッセンシャルドラッグの生産量を維持する(3)研究開発投資を縮小しないことなどを義務付ける方針だ。

※優遇縮小で投資に影※
 進出企業でも投資意欲に陰りがみえ始めている。政府は昨年度から特別経済区(SEZ)に入居する企業への税優遇を縮小した。これまで免除されていた最低代替税(MAT)、配当分配税(DDT)などが課税されるようになり、入居企業からは反発が起こっている。
 南部アーンドラ・プラデーシュ州のSEZでAPI・製剤工場を稼働するエーザイ・ファーマテクノロジー・アンド・マニュファクチャリングのサンジット・ランバ社長は9月のプレスリリースで、「MAT課税はエーザイの投資計画を弱体化させる。(省略)工場拡張の意欲が大幅に減退した」とコメント。SEZ開発でも計画の実施延期や中止を検討する企業が相次いでいる。


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