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2012年09月26日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載】元素をつかいこなせ(中)

「銀でエコガラス性能向上」
 ガラスに特定の金属元素を添加するとさまざまな色ガラスに変化する。着色だけでなく紫外線、赤外線、放射線などの遮断も可能だ。家庭の省エネルギーに貢献するエコガラスには断熱・遮熱性能に優れる銀(Ag)がコーティングされている。旭硝子のLow-E(低放射)ガラス「サンバランス」は複層ガラスにすることで、冬は室内の暖かい熱を逃がさず夏は太陽熱を遮断し、快適な室内空間を実現する。6月からは通常の複層ガラスと比べて遮熱性能が約2倍、断熱性能が約2・5倍のサンバランス-アクアグリーンEを発売した。
 リンテックと富士フイルムはフィルムに銀のナノ粒子をコーティングする技術を用いて近赤外反射フィルム「ウインコス」を発売した。既存の窓ガラスに貼るだけで優れた日射調整機能を発揮する。東海ゴム工業は自動車用ガラスの中間膜向けに銀をスパッタしたフィルムを開発している。

※LEDにInが活躍※
 発光ダイオード(LED)も元素の特徴が生かされている。青色LEDは窒化ガリウム(GaN)にインジウム(In)が添加されており、インジウムの量によって黄色から紫、紫外領域までの広い波長をカバーする。青色LEDの登場以降、電光表示板、液晶バックライト、照明と用途が順調に拡大。三菱化学はGaN基板から照明までと素材から最終製品にいたる一貫した事業展開を推進中。
 インジウムの主力用途は液晶ディスプレイなどの透明電極膜となるインジウム・スズ酸化物(ITO)。この分野は日本企業が高いシェアを握っており、JX日鉱日石金属はITOターゲットで世界シェア約25%を占める。ただ、インジウムは亜鉛の副産物で、レアメタルの1つと位置付けられている。日本では酸化亜鉛(ZnO)などの代替材料の開発が活発に行われている。

 透明性と超電導という従来なら相反する特性を両立した素材も出てきた。東北大学の原子分子材料科学高等研究機構は、超電導体として知られている「LiTi2O4」薄膜の合成を緻密に行うことで可視光透過率60%以上、13ケルビンの超電導転移温度を達成した。薄膜内のリチウム量の調整などで実現したもので、液体ヘリウム温度(4ケルビン)を超えたことで簡易に超電導の実験が行える。インジウムを使わない透明導電材料としての可能性もある。

※Tiの加工性が向上※
 航空機や化学プラントなどに使われるチタン(Ti)合金。比強度が高く耐食性に優れる特徴がある半面、加工が難しいため生産性に課題を残している。東北大学の金属材料研究所はニッパツと共同でチタン-6%アルミニウム(Al)-4%バナジウム(V)合金の超塑性加工技術を開発した。チタン合金の「αマルテンサイト」と呼ぶ準安定相に着目したもので、内部に多量な欠陥を含む特徴を逆に利用した。適切な熱間加工を施すことで均質な微細粒組織が得られるという。圧延加工を行った場合、従来に比べ250度C低い650度C、10?100倍速い条件でも220%以上の引っ張り伸びを示した。従来の合金は同じ条件で100%未満の伸びしか得られない。この技術を利用することで成形コストを50%低減できる可能性があるという。
(続く)
【写真説明】上 インジウムの主力用途であるITOターゲット 中 東北大学は透明超電導体の作製に成功


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