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新フェーズへ移行したLRIに期待
日本化学工業協会は2000年に取り組みを開始したLRI(ロングレンジ・リサーチ・イニシアチブ=長期自主研究)を、「新LRI」として新たなスタートを切った。化学業界と社会が抱える喫緊の課題を解決するため、産業界のニーズや緊急性を反映した「課題解決型研究」を主軸とした。近く研究テーマが決まり、来月から委託研究が本格的に始まる。
LRIは、国際化学工業協会協議会(ICCA)の主導により、日米欧の化学工業協会が協力して取り組む自主活動。化学物質とヒト健康・環境に関する科学的知識を集積する、試験法やスクリーニング手法の開発により化学物質の安全管理能力を高める、科学的根拠に基づく公共政策の決定を支援することを主目的に、大学や公的機関などの研究活動を支援した。
日化協は年間1億数千万円の予算を組み、毎年30件程度の研究テーマを公募により採択してきた。支援テーマは340件に達し、国際的な試験ガイドラインへの提案、各省の委託研究プロジェクトへの採択につながったものもある。ただ研究テーマの多くは基礎的メカニズムの解明。産業界のニーズに合致した実用的な研究が少ない、役立つまで時間とコストがかかるなど問題もあった。日化協最大のプロジェクトでありながら、その意義や成果を疑問視する声も出ていた。
化学物質を取り巻く環境も、この数年で大きく変化した。世界の化学物質管理体系は、従来のハザード管理からリスク管理へと移行し、IT技術などを用いた新たな評価手法や試験法も相次ぎ開発されている。また、ナノマテリアルを含む新規の化学物質が創出され、適切な安全性の検証が急務となっている。化学物質の安全性に対する社会の関心も高まった。
11年8月に活動内容の見直しに着手。日化協が課題を明確化して研究を推進するトップダウン型の新LRIを、今年度スタートした。研究分野には「新規リスク評価手法の開発と強化」「ナノマテリアルを含む、新規化学物質の安全性研究」など5分野を設定。委託先を指定する「指定型研究」や既存研究を加速する「共同研究」を導入することで、社会ニーズに迅速に対応していく。
化学産業のすそ野の広がりを考えると、サプライチェーンへの的確な情報提供が強く求められている。新LRIは科学的知見の集約と科学的なアプローチにより、化学企業の製品安全管理の向上と効率化に貢献できる。グローバル化の進展で対応すべき課題が増えるなか、日本の化学業界の競争力向上への寄与を期待したい。