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2012年09月21日 前へ 前へ次へ 次へ

バイオマス事業を育てる政策支援を

 再生可能エネルギー(再生エネ)のなかで重要性を高めているのがバイオマスである。家畜排せつ物、木材チップなどによるエネルギー回収が実用化されているが、今後の技術開発や社会システム構築次第で、地域経済や中小企業の活性化への貢献が見込める。開発途上国の植物資源を利用した技術開発も始まっており、エネルギー・環境事業の海外展開につながると期待されている。
 日本経済の再生と成長戦略に貢献できるエネルギー・環境戦略の構築が急務になっている。太陽光発電を筆頭に再生エネ事業への投資が拡大しているが、現状の技術や量産レベルではコストアップが避けられず、天候などに左右されない安定供給の課題も残している。
 バイオマスは、化石資源以外の動植物由来の有機性資源で、これまで地産地消型再生エネとして根付いている。家畜排せつ物や下水汚泥などはバイオガス化や固形燃料化で再利用され、製紙工場などで発生する廃材はチップ化して燃料に活用されている。食品廃棄物のメタン発酵による利用も始まっている。太陽光や風力に比較して出力が安定しているほか、多様な燃料化が可能、カーボンニュートラルでCO2削減対策としても有効というメリットがある。
 政府は7府省による「バイオマス活用推進会議」を設置、2020年目標として(1)2600万炭素トンのバイオマス活用(2)5000億円規模の新産業創出(3)600市町村のバイオマス活用推進計画策定を打ち出した。
 バイオマス原燃料化は、食料と競合しないセルロース系非可食性植物などの利用が条件になる。ガソリンやディーゼル代替の液体燃料、熱・発電、化学原料など付加価値の高い資源の回収を目標としている。しかし、資源が広く薄く存在するため収集運搬コストが割高になりがちで、技術開発や事業化の目標を明確に定めて取り組む必要がある。
 とくに非食用農作物、米も含めた資源作物などソフトセルロース、廃材や間伐材などハードセルロースは資源化は遅れている。これから多様な技術開発の可能性は期待できるが、事業化に際しては厳しく事前調査を行い、採算が見込めない事業は直ちに見切るべきである。
 開発途上国には、利用されないまま放置されている植物資源も多い。日本の技術力に着目した共同開発が東南アジア、アフリカなどで動き出しており、ジャトロファのバイオ燃料化などの成果が生まれている。バイオマスは途上国支援にも貢献することで成長戦略を支える。現地ニーズを重視した連携を進めてもらいたい。


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