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2012年08月27日 前へ 前へ次へ 次へ

モノ作りを支える金型産業支援を

 日本のモノ作りを支えてきた金型産業が、主要ユーザーが進める生産の海外展開や中国などから汎用金型の輸入増という構造変化を前に厳しい状況にさらされている。金型はプレスや樹脂成形の品質を決める基幹製品だが、中小規模の企業が多く財務基盤も強くない。次代のモノ作り戦略の核心ともいえる金型産業のテコ入れをどう進めるのか、今後の産業政策の焦点の一つになる。
 日本政策投資銀行がまとめた調査によると、自動車や電機などの海外への生産シフトおよび現地調達の拡大、中国など東アジアでの金型産業の台頭が市場構造の大きな変化を促している。金型やその部品・付属品を製造する事業体は約9200社だが、そのほぼ9割が従業員20名以下の零細企業だ。しかし、熟練工の経験が生かされる匠の技が、日本だけでなく世界で高い評価を受けてきた。
 日本の金型産業の危機が表面化したのは2009年。自動車プレス金型最大手のオギハラ(本社・群馬県太田市)がタイの自動車部品大手、サミットグループの出資を受け入れる一方、館林工場を中国BYDに売却した。また、05年から10年に金型関連企業約700社が倒産・廃業に追い込まれている。
 日本の金型企業は、部品仕上げの数ミクロンの微調整や樹脂成形時の熱収縮を見越した設計・温度管理、耐久性を考慮した設計などで強みを発揮、これが日本の自動車や電機などモノ作り産業の基盤を支えてきた。
 しかし、市場構造の変化が急速に進むなかで、その事業基盤が浸食されている。例えば、03年20%強だった輸入浸透度は、昨年35%へ上昇、輸入額は800億円に迫っている。樹脂成形用金型が大半で、ここ数年、中国からの輸入が急増している。汎用金型における技術のキャッチアップが背景にある。一方、リーマン危機で急減した輸出は、回復の足取りが鈍く円高も加わって輸出比率は23%にとどまる。自動車を中心に、海外生産が拡大するなかで現地調達が増えているのが要因だ。
 こうしたなかで注目されるのが、中国企業の台頭である。企業数は3万社前後に上り、3次元CAD/CAMや先端設計ソフトの導入のほか、日本などから熟練技術のほか図面や加工データの流出が進んでいると指摘されている。ちなみに、中国の金型企業の総売上高は1000億元規模で、この間、年率2ケタ成長を続けている。
 金型産業は、日本の組み立て産業を支えてきた功労者である。海外進出や新規分野の開拓に向けた支援策を含めて、今後の日本のモノ作り戦略の核に据えた論議が不可欠になる。


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