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2012年08月23日 前へ 前へ次へ 次へ

拡大する内外価格差に的確な対応を

 わが国の高コスト構造は、一向に改善されていない。とりわけ電力を中心とするエネルギー価格、不動産など産業向けサービス価格は韓国、台湾、中国などにとどまらず米国に対しても圧倒的に割高である。このままでは、製造業を中心に海外シフトは加速することになりかねず、内外価格差是正に向けた取り組みは喫緊の課題である。
 この調査は、経済産業省がみずほ総合研究所に委託して、東アジア3カ国のほか米国、ドイツを対象に2011年7-9月時点で調査した。07年比為替レートは対ドルで34%、対ユーロで32%、対ウォンで43%、対NTドルで26%、対元で22%といずれも大幅に上昇し、07年比の内外価格差は中国を除くと広がっている。
 この結果、11年の内外価格差(総合)は対米1・88倍、対ドイツ1・52倍、対韓国2・45倍、対台湾2・65倍、対中国3・82倍と日本の高さが際立つ。このなかでエネルギーを含めた「工業製品等」は1・24倍?2・18倍の範囲に収まる。化学製品やプラスチック製品などを含めた「素材」に限ると、1・08倍-1・83倍とそれほど極端な価格差はない。
 しかし大口電力価格になると、米国の4・50倍、韓国の4・17倍と大きな格差が生じる。唯一ドイツと比較すると0・72倍と日本が割安になる。
 「産業向けサービス」価格は中国の6・85倍を筆頭に、価格差の少ないドイツと比較してもほぼ2倍という水準。この主因は不動産価格である。
 内外価格を引き起こしている要因は、為替要因が大きいほか、財やサービスの品質に起因し差ていることもあろう。ただ、このような価格差が存在する以上、国内生産による輸出では安定した収益や国際競争力の確保は容易でない。とくに製造業にとっては、円高やエネルギーコストが重くのしかかり、高い法人税負担や自由貿易協定締結の遅れもある。12年度も取り巻く環境はほとんど改善していないのが実態ではないか。
 この調査からは日本の産業に直面する別の課題も読み取れる。競争の激しい製品ほど内外価格差が小さいという結果だ。日本のプラスチック製品の価格は、米国、ドイツ、韓国より割安。電子部品・デバイスはドイツ、台湾、米国より安い。このほかスクラップ類、製材・木製品、パルプ・紙・同製品、鉄鋼、非鉄金属、石油・石炭製品などの価格差はほとんどない。
 化学製品は、対5カ国平均で1・43倍で「素材」の内外価格差とほぼ同水準だ。ドイツと1・65倍と格差が大きいこと、汎用樹脂などの価格が相対的に割高という特徴がある。


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