ニュースヘッドライン記事詳細

2012年08月23日 前へ 前へ次へ 次へ

河童イメージの変遷と好奇心の大切さ

 河童が日本酒やお菓子のキャラクターになり、地域おこしに貢献するのは最近のこと。室町時代の河童は、川に棲む猿に似た獣として描かれた。江戸後期になると亀やすっぽん、蛙のイメージが一般的だが、それでも人を水死させたり、女を犯す忌まわしい怪物である▼イメージを変えたのは清水崑の「河童漫画」。戦後のことだが、今や"かわいい"イメージが定着した感がある。しかし寺田寅彦が昭和4年に発表した随筆「化物(ばけもの)の進化」では、天狗とともに科学では理解しにくい生き物に分類された▼この随筆で寺田は、「科学が進歩すると共に科学というものの真価が誤解され、買いかぶられた結果として、化物に対する世人の興味が不正当に希薄になった」と科学を万能視する当時の社会を痛烈に批判する。「化物がないと思うのはかえって本当の迷信である。宇宙は永久に怪奇に充ちている。あらゆる科学の書物は百鬼夜行絵巻物である。それを繙いてその怪奇に戦慄する心持がなくなれば、もう科学は死んでしまうのである」と好奇心の大切さを説く▼全国学力テストの結果が公表され、この文章を思い出した。理科では知識を応用する問題の正答率が低いこと、中学になると理科を「好き」とする回答が大きく下がる。約年前の指摘、杞憂ではなかったようだ。


Copyright(c)2010 The Chemical Daily Co., Ltd.