米SM アジア向け輸出拡大 燃料コストで競争力
米国からアジアへのスチレンモノマー(SM)輸出が拡大している。かつては、アジアの需要不振の影響をもっとも早く受けるとされていたが、今年は円高に苦しむ日本が先に脱落。米国は、割高なベンゼン価格と長い輸送距離というハンディキャップを、-シェールガス革命-によるエネルギーのコスト低減で跳ね返している。
米国はベンゼンの輸入ポジションにある。不足分は主に韓国を中心としたアジアから調達しているため、ベンゼン価格はアジアに比べ相対的に高い。また、アジアへのSM供給では日本など域内の輸出国比べ輸送距離も長い。このため従来、アジアの需要が振るわないときは最も早く輸出減を余儀なくされていた。
こうした不利な条件は現在も変わらない。米国のベンゼン価格は5月以降、欧州のプラントトラブルの余波から高騰。アジアと米国のベンゼン価格差は、むしろこれまで以上に広がった。
しかしこうしたなか、米国の1〜6月のアジア向けSM輸出は、前年同期比べ7万8000トン増。割合にして62%も拡大し20万?を超えた。
米国のSM輸出拡大を支えたのは、エネルギー競争力。米国の製造業の間でもっとも利用されているエネルギーである天然ガスの産業向け価格は、-シェールガス革命-による需給緩和から、11年12月の1000立方フィート当たり4・5ドルから、12年5月には同3ドルを割り込むまでに下落した。
一方では日本からの輸出減もある。日本はこれまで、SM生産量の半分をアジアへ輸出してきたが、今年は、円高が続くなかでの市況悪化により苦戦。1〜6月のアジア向け輸出量は前年同月比13万トン減、割合にして2割もの削減を余儀なくされている。
米国の天然ガス価格は足元、下落に歯止めがかかったもののいぜんとして低水準にある。一方、日本からの輸出は7月も苦境から抜け出せずにおり、日本が後退した分を米国が取り込む状況が、一時的な現象に終わらない可能性もある。