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2012年08月20日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載】1 転換期のASEAN石化産業

 東南アジア諸国連合(ASEAN)が、一大経済圏を目指しひた走り始めた。日本の約3割に過ぎないASEANカ国の合計GDPは2020年代前半に日本と肩を並べるとみられ、購買力を高めた中間層が世界有数の消費市場を出現させることになる。こうした経済構造の変化にともない、成長の一翼を担う化学産業の位置付けも国ごとに変わりつつある。そして、この10年余りでノウハウを蓄積してきた地場企業が高度成長期に入りつつある新たなステージの主役として存在感を高めようとしている。
(シンガポール支局=渡邉康広・清川聡)

※プラ消費10年で3倍※
 ASEAN域内のプラスチック消費量は、GDPの成長と比例して増加することが見込まれており、今後10年で現在の3倍に増える計算だ。マレーシア国営石油・ガス会社ペトロナスのツルキフリーCOO兼川下担当上級副社長が「16年にはアジアで計画されている石油化学製品の供給能力を需要が上回る」と強調するように、中間層が牽引する人口6億人規模の巨大市場が中国とインドの狭間に登場することになる。15年に形成されるASEAN経済共同体(AEC)がこの動きを大きく後押しするのは間違いない。
 そうしたなか、石化産業はどのような位置付けになるのか。域内で先行して生産能力を拡張してきたシンガポールとタイは今までにない付加価値の高い誘導品の事業化に力を注いでいる。その一方で、この10年間、大きな投資がなかったマレーシアやインドネシアは先行する2国を追いかけるように能力増強を急いでいる。
 シンガポールはジュロン島の土地に限界がみえつつある。さらに、世界的に最も高い水準とされる電力料金をはじめとした用役コストも逆風となっている。経済開発庁(EDB)を中心とする政府は、新たな成長戦略を描こうと苦心しているようだ。
※国営企業同士が提携※
 タイでは09年に起きたマプタプット工業地区における多数の事業の一時停止問題を乗り越えつつあるが、国内での大型投資にはまだ風当たりが強い。ただ、周辺国への投資を虎視眈々と狙っている。
 ペトロナスが進める石油精製・石化統合計画に参画するタイPTTグループ、インドネシアの石化大手チャンドラ・アスリ・ペトロケミカルに資本参加したタイのサイアムセメントグループ(SCG)はそれを象徴している。
 こうした動きの主役はこれまでの外資系企業ではなく、確実に地場企業に移りつつある。「国営企業同士で規模も似通っており、石油・ガス田を共同開発するなど提携関係にあるペトロナスはパートナーとして最適」と語るPTTのパイリーン社長兼CEOと、「SCGは単なる出資者ではなく戦略パートナーだ」と語るチャンドラ・アスリのバリトノ取締役の言葉には、ともにこれからの成長市場を戦い抜く決意がみえる。
(続く)

【写真説明】 ASEAN各国の成長の牽引役は外資資本から地場企業に移りつつある(インドネシアのチャンドラ・アスリが建設中のブタジエンタンク)


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