食料価格とエネルギー・環境対策の二律背反
米国中西部の穀倉地帯が、半世紀ぶりという記録的な熱波と旱魃に見舞われている。大豆やトウモロコシの生産が大打撃を受け、穀物価格の高騰が続く。トウモロコシは8月に入って史上最高値を更新、騰勢が収まる気配はない▼飼料穀物の値上がりが牛肉や乳製品に波及することは避け難く、世界の食料価格を押し上げる事態が強く懸念される。国連食糧農業機関(FAO)の事務局長が英紙への寄稿で、米政府にトウモロコシ由来のバイオエタノール生産の即時中止を求めたのはそんな背景から▼米国は世界最大のトウモロコシ生産国だが、生産量の約4割はバイオエタノール向け。それを飼料、食料に回せば価格高騰が一服するという主張だ。この見方は必ずしも支持されておらず、原油価格上昇の呼び水になる可能性を指摘する声もある▼バイオエタノールの普及促進の主眼は、再生可能エネの拡大つまりは環境の保全、調和だ。非可食バイオマスからの高効率生産など技術革新の重要性が増すが、それは対策の一助▼「食料とエネルギー・環境」あるいは「経済と環境」を巡る二律背反の解決-。繰り返されてきたこの議論が、異常気象で再燃し先鋭化している。底流には世界人口の急激な増加がある。熱帯夜ならずとも、考えるほどに寝付けなくなる問題だ。