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2012年08月16日 前へ 前へ次へ 次へ

【連載】中国ポリエチレン市場 変わり始めた需給構造(下)

産炭地で続々と石炭化学コスト競争力にも自信
 中国はエチレン生産能力拡大に引き続き力を入れているが、原油輸入依存度が高いのことがネック。右肩上がりで上昇し60%に近づくなか、「オレフィン"12・5"発展計画」では石炭からのオレフィン生産(CTO)やメタノールからのオレフィン生産(MTO)などの石炭化学を重視している。

【写真説明】 2011年春に商業生産を開始した神華寧煤CTOプロジェクトのMTPプラント

1白石_神華寧煤(連載用)[1].jpg

※原料多様化の一環※
 すでに神華集団の2プロジェクト、包頭(内モンゴル自治区)および寧煤集団(寧夏回族自治区)は商業生産に入っている。MTOでは石炭の高度利用計画に付随するプロジェクトのほか、輸入メタノールの利用を計画するプロジェクトも目白押し。中国石化(SINOPEC)も原料多様化の取り組みの一環としてMTO導入を進めている。
 CTOの国家モデルプロジェクトの1つに位置付けられた神華集団・包頭のポリオレフィン生産能力はポリエチレン、ポリプロピレンそれぞれ年30万トン。11年初めに商業生産を開始した。同社グループでは寧煤集団も11年4月にCTO同50万トンが稼働入りしている。寧煤集団のプラントはプロピレンの生産を主力とするMTP。
 さらにCTOでは大唐国際が内モンゴル自治区で同46万トン、中煤陝西楡林能源化工が陝西省で同60万トン、中国石化が貴州省で同60万トンを計画しており、これらは14年までの完成を目指している。
 中国でCTOが活発となった背景には「石炭が豊富な半面、原油、ガスは乏しいという国内資源バランスの下では、伝統的なナフサクラッカーによるポリオレフィン生産だけでは拡大する需要を満たしきれない」(中国CTO企業)という考えがある。同時に石炭企業の付加価値向上志向も指摘される。
 従来の石炭の大口消費先は発電と鉄鋼。ただ、中国の鉄鋼業では品質面から輸入炭が強い。発電向けは石炭価格が政府に管理されており、市中価格を大きく下回る。石炭化学に振り向ければ、こうした流れを回避できるうえに高度加工により付加価値が上がる。

※外資も投資に動く※
 石油化学とのコスト優位性についても、中国の研究者やCTOメーカーは自信を深めている。現状では「原油価格1バーレル当たり90ドルの場合、石炭価格(一般的な5000キロカロリー炭)1トン当たり580元、原油が同100ドルの場合は石炭が同690元で競争力を持つ」(中国石油・化学工業連合会)という。足元の石炭価格は同630元前後。ここにきて下げ基調を継いでおり、中国国内では需給軟化もあって石炭の高価格時代は終わったともいわれる。
 生産技術の進化とそれにともなうコスト優位性、豊富な資源量、原料多様化の観点からもCTOプロジェクトは各地で続々と進行中。早くから神華集団との合弁計画を打ち出したダウ・ケミカルや自社技術を有する仏トタルなど外資勢も、中国での投資に動いている。中国のポリオレフィン供給源としてCTOが確固たる存在感を発揮するのはそう先の話ではない。
(了)


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