本格的に動き出すミャンマー投資
米政府は11日、米国企業によるミャンマーへの新規投資を解禁した。これによって、「アジア最後のフロンティア」と言われるミャンマー市場での競争は一層激しくなるだろうが、これまで制裁に歩調を合わせてきた日本企業にとっても、進出への追い風になることは間違いないだろう。テインセイン大統領は先月、今後5年間で年率7・7%の経済成長を目指す方針を明らかにした。1人あたりGDPはタイの約7分の1だが、人口は匹敵する約6200万人だけに成長の可能性を秘めている。
最近、海外ビジネスマンが増え、現地の高級ホテルは3倍近い価格になり予約も取りづらい状況になっているという。日本企業は市場参入に出遅れているとの論評も見られるが、先行している中国、タイ、韓国企業による投資は天然ガス、水力発電、工業といった資源開発が中心だ。製造業、ホテル・観光をはじめとするサービス業、同国の主要産業である農業分野における投資は少なく、日本企業が活躍する場面はまだまだあると考えられる。
人件費の安いミャンマーは、日本企業にとっては繊維や靴製品に代表される労働集約型産業の生産拠点として魅力的だ。ミャンマーからの衣類の輸入額は伸びているが、衣類輸入額全体の1%以下で成長の余地が大きい。製造業はミャンマーにとっても雇用拡大につながるうえ、現地に技術も残ることから、優れた技術を持つ日本企業の製造業分野での進出を非常に期待している。
また、GDPの半分近くを占め、人口の約7割が従事する農林水産業も重要な分野である。同国は農業生産性向上が課題で肥料、農薬、種子、農業機械といった生産資材・機材の重要性が増している。日本政府は中断していた政府開発援助(ODA)再開を表明したが、これら課題に対応できるような有用な援助になることを望みたい。
一方、ミャンマーへの投資促進の障害となる課題もまだ残されている。例えば、安い労働力は魅力的だが、賃金上昇、ストライキ、人材が定着しないといった人事・労務管理上のリスクがある。免税措置など外国企業の投資奨励策の整備も急ぐ必要がある。ミャンマー政府が開発を計画している「ティラワ経済特区」に、どのようにして外国企業を誘致するのか、今後の開発計画も含めて詰めていくことが肝要だろう。
そして2015年に控えている総選挙を民主的に乗り切り、政治的不安定要因を取り除くことができるかが、最大の山場と言えよう。この政治的リスクも視野に入れて、中長期的な投資計画を組むべきかもしれない。