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2012年07月20日 前へ 前へ次へ 次へ

東ソー 宇田川憲一社長「安全改革 現場視点で」

 昨年月に起きた南陽事業所(山口県)の爆発火災事故からの復旧を急ぐ東ソー。今月8日には第3塩化ビニルモノマー(VCM)プラントも再稼働させ、巻き返しに向けた体制整備が着々と進む。安全対策の徹底とさらなる成長への両立にどう挑むのか、宇田川憲一社長に聞いた。
(聞き手=佐藤豊)
...南陽事業所の現状と今後の対応について。
「昨年の事故については関係各所に大変ご迷惑をおかけしたと改めてお詫び申し上げたい。安全はメーカーの存立の前提であると日々言い続けながら、どこかに慢心があったと認めざるを得ない。事故調査委員の設置以降、さまざまな対策を講じてきた。6月には安全改革指針を発表し、今後はそこに肉付けしていく時期。私自身も直接現場でオペレーターとの会話を重ねていく。また、現場の業務の見直しに加えて、南陽と四日市の両事業所には安全対策費の裁量を与える予定で現場視点の保安保全対策の構築につなげていきたい」
...VCMプラントはどのような復旧の道筋を描きますか。
「クロール・アルカリ事業はカ性ソーダで稼がないと浮上しない。さまざまな選択肢を考慮するが、以前から検討してきた第3プラントの年産20万トンの増設や、第2を万?の生産能力の全部ではなく、もう少し小さく稼働させるのも1つの考え。できるだけ設備投資が少ないかたちを摸索していく」
...電解事業の海外展開については。
「海外の電解は、2年ほど前から事業化のための調査を進めている。しっかりした港湾設備と安価な電力の入手が前提条件となるが、中国やインドネシアなど土地勘のある地域で候補を絞っている。何百億円という大型投資るので、適切な判断のためにも世の中がもう少し落ち着いてくれればいいと思う」
...その他、今年度の重点施策は。
「まずは、最も赤字を稼いでいるジフェニルメタン・ジイソシアネート(MDI)のテコ入れが課題。昨年から実施している変動費の削減を仕上げ、年間億円程度のコスト削減につなげる。また、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)など機能性ポリウレタンの底上げも図る。MDIについては特殊化を進め、高い難燃性と物性を両立する技術開発も進めている」
 石油化学事業の競争力向上策は?
「一つはC4の価値をいかに高めるかであり、需要家とも価格交渉していく。ポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)は輸入品の流入により、減少するかもしれないが中期的には織り込み済み。我々は特殊品で差別化を図っていく戦略で、低密度ポリエチレン(LDPE)にも代替が可能な高溶融張力ポリエチレン(HMS-PE)などに注力していく」
...機能商品事業の将来像は。
「ここは利益の大半を稼ぐ中核分野。足下では南陽のジルコニア粉末と四日市のハイシリカゼオライトの製造設備増強、そして東ソー日向(宮崎県)での化学合成法マンガン酸化物の新設を着々と進め、13年度以降の利益貢献に期待している。ただ、円高もきつく、その先は海外展開を考えざるを得ない。需要地で、かつ、原料が調達できる場所が候補となる。バイオサイエンスについては診断や分析の分野を拡充し、売り上げを200億円程度上乗せしていきたい」
(了)


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